経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、欧州や米国に拠点を持つサステナビリティ専門コンサルティング、クアンティス(Quantis)の日本でのサービス提供を2024年2月8日より開始しました。2006年の設立以来、環境負荷の定量化と計測について数多くの取り組みをけん引してきたクアンティスは、2022年にBCGが買収した後も独立したビジネスユニットとして運営を続けてきました。200名以上の環境サイエンティストやコンサルタントを有し、食品、ファッション、インフラ、エネルギーといった広範な事業領域において、生物多様性、水資源などの環境テーマに取り組んでいます。
環境サイエンス、データベースなどを基に持続可能なビジネスへと変革
クアンティスはこれまで、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)や科学的根拠に基づく目標ネットワーク(SBTN)などの重要なイニシアティブと連携してきました。TCFDの森林・土地・農業領域における環境負荷の計測メソドロジー開発や、SBTs for Nature(自然に関する科学に基づく目標設定)に関連し、検証用の目標提出に向けて現在進行している17社のパイロットプログラムの支援などがその例です。
事業活動が与える気候や自然資本への影響を負から正へと移行するには、環境負荷の正確な評価が不可欠です。しかし、ツールやデータベースが未成熟であることや、サプライチェーン上流でのデータ収集の難しさなどの課題が山積しています。これらに対し、クアンティスは、環境サイエンスの専門チームが独自のツールやデータベースを駆使し、具体的な解決策を提供します。日本でも、生物多様性・自然資本、食料システム、サーキュラーエコノミーなどの専門家がチームを組み、気候変動と生物多様性を統合した戦略の立案、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)やSBTNをはじめとする規制対応、再生農業や再生林業などの自然を基盤とした解決策(Nature-based Solutions)、循環型システムの構築といった支援を提供していきます。
その一環として、排出係数[注1]管理のためのクアンティス独自のデジタルプラットフォーム、eQosphereサービスの提供を開始します。このサービスは、農産物・食料やアパレル製品に関する排出係数と環境フットプリント(環境への影響を数値化したもの)を提供するWorld Food LCAデータベースと共同で蓄積した膨大なデータや、バリューチェーンの詳細なステップを分解しデータに基づいて推計するモデルを活用し、一次データまで遡った排出係数を提供します。eQosphere は、データの透明性を確保し、削減努力を反映できる高い解像度で環境負荷を評価することで、企業の意思決定と取り組みの持続性をサポートします。すでに世界の先進企業で活用されているeQosphereの提供により、日本でも、「温室効果ガス排出量を算定する際の精度に不安がある」「温室効果ガス以外の、例えば水などの環境フットプリントが算定できていない」「削減努力はしているが、それが数値にどう反映されているのか実感できない」といった企業の悩みを、エキスパートの知見と日本語による支援で解決していきます。
「算定」「計画」「変革」の3段階でさまざまな業界の企業を支援
クアンティスの強みは、科学に基づく体系的なアプローチを、気候変動にとどまらず、生物多様性や自然資本を含めた包括的な環境戦略に取り入れることにあります。クアンティスの支援は、「算定」「計画」「変革」の3段階で行われます。
算定: 環境リスクやフットプリントを、気候変動・生物多様性・水・土地・プラスチックに関して算定。データベースを開発し、管理する。社内外のインサイトを収集し、優先トピックを特定する
計画: 事業戦略とサステナビリティ目標を統合させる。科学的根拠に基づく目標を設定し、ロードマップを策定。ビジネスモデルを設計する
変革: 社内の意識改革やサプライヤーの啓蒙。製品ポートフォリオを変革し、顧客・消費者に対するコミュニケーションを改善。NGOなど外部との関係構築により、エコシステムを形成する
クアンティスはこれまで、食品メーカーや化粧品、ファッション、金融、ICT(情報通信技術)など、さまざまな業界の企業のフットプリントの算定や削減を支援してきました。支援事例は、こちらからご覧いただけます。
クアンティスの日本におけるサービスの責任者を務めるBCG消費財・流通グループの日本リーダー、森田 章は次のようにコメントしています。「クアンティスは、2006年の設立以来、世界で5000件以上の自然に関するプロジェクトを実施してきました。気候変動だけでなく、生物多様性や自然資本に対する企業の責任が問われるいま、私たちはクアンティスとBCG、双方の専門性を生かし日本企業をご支援していきます」
2024年 2月8日
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