
※役職・肩書、インタビュー内容は、本インタビュー時のものになります。
対談 ムービン・ストラテジック・キャリア 久留須 親

movin:
本日はインタビューのお時間を頂き、ありがとうございます。早速ですが、平野さんがBCGに入社されてから、実際に働く中で実感されたBCGの強みや特長、働く上での醍醐味などについて教えて頂けますでしょうか。
平野様:
私が入社してから個人的に一番強く感じているのは、BCGは多様性を尊重していて、その中でぶつかりあうことも含めて意見を交わしながらもみんなで良いものを作っていく、といったカルチャーがあることです。普段から一緒に働いているパートナー、マネージャー、コンサルタントを見ていても、バックグラウンドの多様さだけでなく、体育会系っぽい人もいれば、いわゆるコンサルタントというようなキリッとした人、ちょっとオタク(笑)っぽい人も含めて、本当に色々な人がいると思います。
プロジェクトの進め方という観点からも、トップダウンでシンプルな仮説を立てた上で複雑なものを解いていこうというスタイルの人もいれば、まずはボトムアップで多様な情報を集めた上で、それらを昇華させ、インサイトを生み出していくというプロセスを好んでいる人もいます。ただ、結果的に出てくるアウトプットについては、クライアントにとって本当に意味がありインパクトが大きいものである、という点では共通していると思います。
また、私はパブリック系の金融機関出身なこともあり、入社前は外資系企業に入ることに不安もあったのですが、実際に入社してみるといかにも外資という人もいれば、日系企業や官庁にいるような方もいましたので、すぐに安心できたことを覚えています。そのような様々なパーソナリティを持った人たちが一緒に働きながらバリューを出しているという点こそが、BCGの最大の特長だと思いますし、個人的にはその点に非常に魅力を感じています。
movin:
なるほど、ありがとうございました。前職からご転職されてきて、あまり違和感が無かったとのことですが、前職と何かしら共通する点等はあったのでしょうか?
平野様:
そうですね。私は就職活動をしていた時から、日本の経済とか金融を良くしたいとの想いで前職を選びましたし、前職には同様の想いを持った方々が多かったです。BCGに入ってからも、同じ感度の人、社会に対して大きな付加価値を生み出して、もっと社会を良くしたいとか、日本を良くしたいといったことを、熱く真剣に考えている人が多いなと感じています。
クライアント企業のサポートを通じて社会や経済にインパクトを与えることに加えて、プロボノ系の活動も多いですし、我々が持っている問題解決能力を上手く活かして、官庁の方と一緒に世の中に対して大きなインパクトを与えていこうといったパブリック系の仕事も増えてきています。BCGの日本オフィスとしても、そういった取り組みを積極的に進めていこうとする動きが活発になっていますので、個人的にはすごく居心地が良いです。
movin:
様々なバックグラウンド、様々なタイプの方がいらっしゃる中で、そのような多様性に富んだメンバーがひとつの方向に向かっていくには、会社の方針なり、共通した何かがあると思うのですが、その点についてはいかがでしょうか?
平野様:
先程申し上げた通り、元々の志が近しい人が集まっている、と言うのもあると思いますし、「インサイト」、「インパクト」、「トラスト」とBCGではよく言っているのですが、それらに対するこだわりはみんな共通していると思います。具体的には、クライアントにとって意味のあるアウトプットを出し、実際にクライアントの組織が動くまでやる、そして一過性のお付き合いではなく、信頼を得て、長く付き合えるパートナーとして認知してもらう。そうすることでクライアントと力を合わせて社会や経済にインパクトを与えていくのが、我々のゴールであり、そういった基本的な哲学についてははみんな共通していると思います。ただ、考え方が共通だとしても、実際には、個々のメンバーにも得意不得意がありますので、アサインメントの際には、クライアントの業界や案件の特性に応じて適切なバックグラウンドのメンバーを配置し、上手くチーミングしながら進めています。
movin:
他の観点からは、何かしら共通点などはございますか?
平野様:
非常にシンプルですが、最後に結果を出すということへのこだわり、だと思います。それ以外は比較的自由が許容されているような感じがします。グローバルなフレームワークや蓄積されている知見は日々活用していますし、海外のエキスパートと意見交換をしながらプロジェクトを進めることもよくありますが、あくまでもそれらは基本を押さえるためのベースという位置づけです。海外で使っているフレームワークをそのまま当てはめることは無く、クライアント毎にカスタマイズして成果が出るまでしっかりやることが多いですね。

movin:
なるほど、ありがとうございました。
平野さんがBCGで働いていく中で、成長を実感したり、ブレイクスルーしたと感じたご経験があればお聞かせ頂けますでしょうか。
平野様:
私の場合は、そもそも別の業界から中途でコンサルティング業界に入ってきたので、コンサルタントとしてパフォームできるようになったのか、それとも前職でのスキルや経験からパフォームしているのか、そのあたりが良く分からない状態が長いこと続いていました。それまでも評価が悪かったわけではないのですが、初めて自分で本当に自信が持てるようになったと感じたのは、入社後3年目に1年ほどパリに派遣されていた時でした。
ある中東の通信会社向けのプロジェクトが開始した時に、特に国籍などは関係なく私が現地でアサインされました。当時の私には通信業界のバックグラウンドも知見も一切なかったので、最初は手探りではありましたが、自分が過去2年間学んだコンサルティングスキルをフルに活用しながら進めていった結果、最終的には良いアウトプットを出すことができました。プロジェクトの最後に、日本でいう箱根のようなリゾート地での役員合宿のようなものがあって、社長以下が集まり会社の方向性などを議論したのですが、その場で自分の作ったコンテンツやストーリーで非常に有意義な議論が展開されて、しっかりと価値を生み出せているということを実感しました。日本人であるとことや、自分のバックグラウンドや知見が全くない領域においても、コンサルティングスキルが一定程度通用して付加価値をつけられたという意味で、ひとつのブレイクスルーになったと思います。この経験を通じて、大きく自信や度胸がつきました。
movin:
ちなみにその当時はどのランクだったのでしょうか?
平野様:
その当時はマネージャーになる前のコンサルタントでした。
movin:
ちなみにパブリック系の金融機関からBCGにご転職されたとのことですが、入社後は金融系のクライアントを担当することが多かったのでしょうか?
平野様:
いいえ、そういう訳ではありません。もちろん金融系のプロジェクトもありましたが、製薬業界やテクノロジーセクターなども担当しました。新たなクライアントを担当する度に、試行錯誤を繰り返していましたね。
movin:
中東のプロジェクトを経験するまでは、そこまで自信に繋がるということは無かったのですね。
平野様:
はい。多少、変化球が来ても必ず打ち返せるというような、本当の意味での自信といえるところまでは持てていませんでした。
movin:
なるほど。中東のプロジェクトは、相当な変化球だったのですね。その玉を打ち返せたというところで自信に繋がったのですね。
平野様:
はい、そうですね。そのクライアントは現地では非常に有名だったのですが、私は聞いたことも無かったですし、その企業の新規事業をゼロベースで考えるという、私にとっては未知のプロジェクトでした。そのような状況に加え、国交がある国でないと事業展開できないといった独特な制約条件も色々ありましたので、新たな発見も多く、非常に面白かったですね。更に、チームメンバーもドイツ人やフランス人、イギリス人、現地のコンサルタントなど、多国籍だったのですが、そのようなチームの中でもしっかり成果を出せたことは、自分にとっては大きな1つの区切りになったと今でも思っています。
movin:
ちなみに中東のプロジェクトのお話は、BCGの海外オフィスでのご経験になると思うのですが、先ほどお話し頂いたようなカルチャーに関しては、海外であっても変わらないのでしょうか?
平野様:
変わらないですね。先ほどは申し上げなかったのですが、BCGは本当にフラットなカルチャーだと感じていまして、パートナー間は対等、その下の我々とパートナーとの関係というのもかなりフラットです。相手がパートナーであっても気軽に知見などを聞いたり、自由闊達に意見することができますし、いわゆる上下関係といったものは、日本にも海外でもあまりないと感じています。先程挙げた海外のプロジェクトに入っていたときに現地のオフィスを立ち上げたシニアパートナーと関わりました。ニューヨークで成功を収めて、オフィス立ち上げに抜擢をされたすごい人なのですが、本当にフランクで、喧々諤々議論をしていました。
また、同じく現地のオフィスにいたフランス人のパートナーも、非常にオープンで、異文化からきた私の意見や知見も、自然体で受け容れてくれる人でした。
他オフィスの様々な人と仕事をしましたが、どのオフィスの、どんなポジションの人と会話をしてもそれは同じで、BCG全体の共通するカルチャーと言えると思います。
movin:
BCGでは、そのようなフラットなカルチャーがグローバルレベルで浸透しているのですね。
平野様:
BCGが大切にしているValueの中に「Respect for Individuals」というものがあります。これは、社員同士の話だけではなく、すべての個を指しているのですが、この言葉にも表れているように、それぞれを尊重する、ということを大事に考えており、フラットなカルチャーが根付いていることにつながっていると思います。加えて、どこから来た、どんな価値観をもった人間であっても、「BCGの仲間」としての意識の中で、すごく丁寧に扱ってくれるし、意見を尊重してくれる、そのような風土がBCGにはあります。
movin:
ありがとうございました。話は変わりますが、ブレイクスルーを経験した後は、比較的順調にやってこられたのでしょうか?
平野様:
いいえ、その後も苦労はありました。日本に帰ってしばらくしてから、初めてマネージャーとしてプロジェクトの最初から最後まで責任を持ったのですが、それはそれで大変でした。プロジェクトチームのメンバーだった時は、マネージャーの進め方について「そのやり方はどうなんだろう?」「もっとこうすれば良いのに…」など色々と思ったこともありましたが、実際に自分が操縦桿を握って、論点をゼロから設計したり、毎回毎回のミーティングでクライアントのトップ層に対してどのようにメッセージを伝えるのか?ということを考えるのは、大変でした。演劇に例えるなら、メンバーであれば、あなたはここで歌って下さいと言われて、その歌を目一杯心をこめて、うまく歌えれば良かったのですが、マネージャーは、舞台回しという立場で、このタイミングでこの人に、こんな歌を歌ってもらうとか、このタイミングで合唱を入れようとか、テンポを押さえようとか、全体的なキャスティングをしていくことが求められるようになる。人がやっているのを見ているのと自分がやるのは全くの別次元でした。
そのプロジェクトでは、何度も七転八倒したり、怒られたりもしましたが、最終的にはクライアントから感謝されることができ、クライアントとの打ち上げの時に、ようやく再度ブレークできたのかなと感じました。
movin:
ちなみに、初めてマネージャーとしてプロジェクトを推進していく上での難しさというものは、具体的にどのような点にあったのでしょうか?
平野様:
クライアントとのミーティングでは、毎回様々なことを議論するのですが、その際にどのような方向性で議論を進めていくべきで、そのためにはどのような材料を持っていけば良いのか、といったことを設計するところに難しさがあったと思います。最初はミーティングの直前になっても良い議論の材料ができていないこともありましたので。当たり前のことですが、マネージャーには、そのようなことをとにかく前もって考え、プランニングしていくことが求められます。
movin:
なるほど、クライアントとのミーティングも含めて、プロジェクトの全体像をデザインしていかなくてはならないといった点が、マネージャーになってから最初に直面する壁なのですね。
平野様:
私にとっての壁はそうでした。
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ボストン コンサルティング グループ(BCG) インタビュー
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