グローバルO&Mビジネスの革新：「Global e-Service on TWX-21」が切り拓く新たな保守サービスのかたち日立コンサルティング　プロジェクト事例

日立コンサルティング　Webサイト引用
https://www.hitachiconsulting.co.jp/case_studies/

1990年代後半、米国での滞在経験をきっかけに、日立建機は従来型の“待つ保守”から、“予測・先行型”の保守サービスへの転換を構想した。その理想像は、顧客に対して故障前に異常を察知し、最適な対応を促す仕組み。そこから誕生したのが、建設機械向けに展開された「Global e-Service」だった。
2000年代にはセンサー活用とデータベースの運用を国内で開始。2005年以降はグローバル展開を本格化し、現在では世界135以上の国と地域に広がる仕組みに進化している。

進化するO&M：IoTとクラウドで再定義された保守 2012年9月、このノウハウを標準化し、より広い業種で活用可能な形へと昇華させたサービスが「Global e-Service on TWX-21」としてリリースされた。これはSaaS型クラウドサービスであり、機器の稼働状況、保守履歴、事故・故障情報などをシームレスに統合管理できるO&Mプラットフォームである。
この取り組みは単なるITサービスではなく、製品ライフサイクル全体を通じて顧客との関係性を深化させる新たなビジネスモデルの体現でもある。

日立グループの連携による共創と革新
本プロジェクトは、日立建機、日立製作所、日立コンサルティングの三者協創によって成立した。日立建機は現場起点のO&Mノウハウ、日立製作所はIT基盤の整備、日立コンサルティングは戦略設計と展開支援を担う。
プロジェクトでは、「グローバル対応」「顧客ごとのカスタマイズ」「多言語化対応」「予兆保全」などを柱に、従来型の枠にとらわれない保守の構築を実現した?。

可視化による価値の定量評価と展開支援
このサービスの導入効果を定量的に評価したのが日立コンサルティング。従来のアナログ業務と比較し、作業時間・労力の削減効果、情報の即時性向上など、人的コストの面から十分な投資効果があることを実証した。
さらに、アフターサービスにとどまらず、品質保証・開発・設計領域にもデータを活用することで、企業全体の競争力向上に寄与する基盤として機能している。

外販に向けた布石と今後の展望
Global e-Service on TWX-21は、日立グループ内での実績をもとに、他の製造業への展開も開始されている。すでに大手メーカーA社との契約が進行するなど、引き合いが増加しており、外販向けパッケージ化と営業体制の構築が本格化している。
一方で、今後の課題としては「コンサルティングとITの両方に精通した人材」の育成が挙げられている。単なるツール導入ではなく、顧客のビジネス全体を設計し、共創していく力が求められている。

まとめ：O&M事業が生み出す信頼と持続的価値
Global e-Service on TWX-21は、単に製品を保守する仕組みにとどまらず、**顧客との長期的な関係性を築く「信頼資産」**として位置付けられている。その背景には、ITだけではない日立建機の“実業”としての経験値と、グループ全体の知見が融合している点がある。
日立コンサルティングは今後も、こうしたグループ内の資産を活用しながら、他業種への横展開やコンサルティング案件の拡大を通じて、デジタル変革と収益モデルの両立を支援するパートナーとしての役割を強化していく見通しである。