movin:

なるほど。
続いて針ヶ谷さんのご経験やプロジェクトでのブレイクスルーを伺えれば幸いです。

針ヶ谷様：

分かりました。私が一番苦しかったのは、マネージャーから、「任せる。任せる代わりに、水準に達しない場合は、クライアントの前に出さない。」と言われた時でしょうか。

もう6〜7年前の話になりますが、毎日明け方まで仕事をして考え抜き、でもまだこれは水準に達しないと言われ、ちょっとしたヒントを貰い考えるということをずっと繰り返していました。
答えを貰っているわけでもないし、自分の中にここまで行けば大丈夫、という水準も無いので寝られないという意味でも厳しい状況でした。
そのなかで、「考え抜かなければいけないんだ」ということと、深める為にはどういう考え方をするのか、いわばメソッドのようなものを学びました。このプロジェクトの中では最後まで苦労をして、実際にブレイクスルーはその少し後、大きな裁量権を与えられたプロジェクトだったんですが（笑）

movin:

それはアソシエイトのときでしょうか。

針ヶ谷様：

いえ、まだアナリストのときでした。

movin:

アナリストで既にそのようなことを任されたのですね。

針ヶ谷様：

はい。
そのプロジェクトは入社したばかりの新人コンサルタントと2人で海外に行き、数百人の従業員がいるある日系の会社の子会社の立て直しをするというものでした。その現地にいる数人の日本人の方と、現地の従業員の方へインタビューをしながらどうやったらこの会社が良くなるのかということを毎日悩み抜きました。結果的にはクライアントに満足頂くことが出来たと思っていますが、ポイントはこのレベルまで考え抜かないとコンサルタントはクライアントの前に立っていけないんだという水準感、方法論を自分なりに持てたということと、実際に、実践する場を与えられたという事だと思っています。 考え過ぎると酸欠気味に頭が痛くなってきて、考えるという事はこういう事なのかな、と感じたことを今でも覚えています。結果的にその次から出来るようになったことは、自分のレコメンデーションを出せるようになったということです。それまでは「私の分析結果はこうです」ということを言っているに過ぎない状況だったのだな、と。

movin:

それは入社されてどのぐらいのことでしょうか。

針ヶ谷様：

1年経ったときですね。その後プロジェクトで広い範囲の仕事を任される機会が多くなったのは、そういった経験があったからだと思っています。

movin:

なるほど。ありがとうございます。
続いて針ヶ谷さんの今後のキャリアについてうかがえるでしょうか。

針ヶ谷様：

コンサルタントとしてのキャリアと、事業会社でチャレンジするキャリアの双方があり得るというのが基本のスタンスです。コンサルタントとしては、様々な変革の機会に、プロジェクトをリードする立場で関われる機会が増えた結果、一つのプロジェクトでクライアントに貢献するだけで無く、複数のプロジェクトを通じて、クライアントや、業界に対して貢献できる様にもなってきたと感じており、非常に充実しています。 一方で、その会社や業界の中から変えていきたいという思いも有りますし、コンサルタントとしての経験のおかげで、通常では頂けない様なチャレンジングなポジションをご提案頂けることも増えてきました。
また、我々のコンサルタントの中には、一度事業会社に出てからコンサルタントとしてカムバックする人間も多くいます。そういった門戸が広いという所はこの業種や会社の良いところだと思っています。
そういった多面的な機会の中で、その時の自分の想いに最もフィットする機会を選択していくことになると思います。