デロイト トーマツ コンサルティング合同会社　パートナー
CRM（Customer Relationship Management）部門責任者。外資系コンサルティングファームを経て現職。CRM領域において戦略立案、オペレーション・組織変革、IT導入支援まで業界横断的に幅広いプロジェクトを手掛けている。

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社　シニアコンサルタント
CRM部門メンバー。外資系コンサルティングファームを経て現職。製造業、エネルギー業界をはじめとしてCRMのオペレーション、テクノロジー変革を中心としたプロジェクトに従事。

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社　コンサルタント
CRM部門メンバー。大手広告代理店を経て現職。メディア、テクノロジー業界をはじめとしてCRM戦略策定およびグローバルプロジェクトを中心に従事。

movin:

本日はお忙しい中、お時間を作っていただき有難うございます。
早速ですが、御社のCRM部門についてお聞かせ下さい。

宮下様：

デロイト トーマツ コンサルティング（DTC）のCRM（カスタマーリレーションシップマネジメント）部門は、製造業をはじめとしたBtoBから小売業のようなBtoCの企業まで業界横断的に、戦略策定からオペレーション変革、IT導入まで、主にカスタマーエクスペリエンス（顧客体験の高度化）、オムニチャネル、マーケティング、セールス、IoTにまつわる多岐にわたるテーマの変革をご支援しています。デバイスや顧客接点が多様化し、チャネルの役割の再定義、チャネル横断的な全体最適へのトランスフォーメーション、デジタルとリアルが融合した最適な顧客体験の設計が不可欠になっています。 またグローバル化、デジタル化、コモディティ化などにより、顧客にとってどのようなサービスができるかといった視点が競争優位の源泉としてより求められていくなかでどのようにして営業力強化すべきかというお問い合わせなども益々増えてきている印象があります。組織の特徴としては、CRMを広義にとらえ従来のコンサルティング会社では手掛けていなかったような領域や、CRMの知見を活かした社会貢献活動にも取り組んでいます。

movin:

クライアントはどのような業界が多いのですか？

宮下様：

現在は製造業、小売、メディア、エネルギーのお客様が多い傾向にありますが、ほぼ全ての業界のお客様を担当させていただいています。

movin:

社会貢献とCRMのつながりを少し詳しく教えていただけますか？

宮下様：

例えば、地方創生は今後の日本の大きな課題のひとつですが、私たちはビッグデータを活用した統計解析手法を用いて高度な分析を行い戦略を立案、実行するようなプロジェクトも手掛けており、その知見を活かして、各自治体のご支援はもちろんのこと、これまで民間企業をメインとして担当していた私たちが弊社の官公庁組織と連携することで官民一体となった変革の推進を促進できると考えています。

movin:

担当されている業種、ソリューション、そして戦略立案からIT導入まで非常に幅広いテーマに取り組まれている印象ですが、なぜ取り組むことができるのでしょうか？

宮下様：

IoTといった言葉に代表されるとおり、お客様の課題は複雑化し、個社の取組だけでなく企業横断的な取組も必要になってきています。そうした中で私たちコンサルタントに期待いただく役割も当然変わっていると考えています。私たちは"心動創生"というキーワードを使っていますが、お客様の心を動かすことにつながるテーマは何でも取り組むことを目指しており、10年以上の豊富な経験を保有するコンサルタントもいれば、広告代理店をはじめ事業会社からの転職者もいて、更に顧客戦略、マーケティング、プロセス変革、組織変革、CRMシステム導入といったそれぞれ専門知識をもった多様なメンバーで構成されているからこそ実現できると考えています。

movin:

そうした多様なテーマに取り組むことについてチームメンバーの方々の目から見ていかがでしょうか。

田中様：

私は外資系のコンサルティングファームから転職してきたのですが、比較してみてもメンバーのバックグラウンドも、取り組んでいるプロジェクトも本当に幅広いと感じています。組織の全体会議などでプロジェクトの情報共有が行われても自分の担当しているプロジェクトと他のメンバーが担当しているプロジェクトの性質が同じ組織とは思えないほど異なることも多く、驚くとともに刺激となっています。どれが良いというものではなく、お客様の課題を解決するために必要な考え方とケイパビリティであると捉えています。

movin:

それだけ多様なプロジェクトを担当されていると、時に、ご自身の専門とは異なるプロジェクトを担当することもあると思うのですが、困ったことはないでしょうか？

呉様：

私は大手広告代理店から転職してきたのですが、どのプロジェクトを担当するかは常に上司と相談のうえ決めています。私の場合は、まずこれまでの経験を活かせる仕事を担当することから始め、会社にも仕事のやり方にも慣れた状態になってきたころに、これまでとは異なる領域にチャレンジするようになりました。また、CRM組織では会社の研修に加えて組織独自の教育プログラムも充実しておりそうした機会で知見を広げたり深めるようにしています。

田中様：

CRM組織の研修はマネジャークラスの方から教えていただくものもあれば、私たち自身が講師を務めるもの、集合研修、個別のプレゼンテーション、合宿など多様な形態があります。参加するまでは研修ということで固いイメージをもっていたのですが、単に資料を読んだり片方向の講義だけでなく、異なるバックグラウンドのメンバーとの双方向のやりとりとりもあることで刺激や気づきもあれば、プロジェクトが異なるためにふだんあまり会話をする機会の少ないメンバーとの交流機会としても楽しんでいます。

movin:

CRM部門の今後について教えてください。

宮下様：

150か国以上で展開している弊社のグローバルの組織との連携をより密にするなどして、日本企業のグローバル展開にますます力を入れていきたいと考えています。

movin:

グローバルな取組機会は現在はどの程度あるのでしょうか。

宮下様：

ひとくちにグローバルといっても、常駐でグローバル展開するようなプロジェクトもあれば、グローバルのテーマを扱い必要時に海外出張をするプロジェクト、また海外のファームのメンバーとの連携などいくつかのパターンがあります。担当しているお客様のビジネスが性質上、国内中心というケースもあるため、いくつかの前提はありますが、組織の7割近くはグローバルのテーマに取り組み、ここ1-2年の間に海外出張をするメンバーが増えてきたと思います。

呉様：

私はこの1年の間に、中国、シンガポール、インドネシアといったアジア、そしてアメリカ、ヨーロッパに出張しています。お客様の課題がグローバルレベルになっていることを改めて実感するとともに、多くの拠点にデロイトのオフィスがあるのをみて、グローバルな変革をご支援する機会はまだまだあると実感しています。

田中様：

私は現在のところ国内を中心に従事していますが、今年、グローバル対応力強化のためにCRM組織からもメンバーがシンガポールオフィスに赴任予定と聞いており、そうした取組が身近にあることは今後の刺激になっています。

movin:

赴任というような事もあるのですね。

宮下様：

はい。当然ですがビジネス機会とそれぞれのメンバーの希望、キャリアなどを総合的に判断しています。多様な形態でお客様や社会に貢献し、メンバーも新しい知見を得ることで更なる多様性が生まれると考えています。

movin:

グローバル以外で力を入れていかれることもお考えでしょうか。

宮下様：

プロモーション実行支援や、ミッションステートメント策定といった従来あまりコンサルティングファームが手掛けてこなかった課題についてもコンサルティングファームの特徴を活かしたご提案に変えて取り組んだ事例もあります。多様性を武器として質の深さとともに、取組テーマの幅を広げていく活動は継続的に進めていきたいと思います。また、こうした事例について様々な大学などで講義を行っており、そうした活動にもより力をいれていく予定です。

movin:

求める人材についてお伺いしたいのですが、CRM組織にはどのような方が向いていますでしょうか？

宮下様：

CRM部門は多様なテーマを扱っているため、経営戦略を中心に据えるメンバーも、オペレーション変革に強いメンバーも、IT導入経験豊富なメンバーもいます。コンサルタントは、「考える」、「書く」、「話す」というベーシックスキルが必要といわれていますが、最近は、複数の企業を横断した取組や社会の変革の実現に向けて、「動く」、「繋ぐ」というようなリーダーシップ的な要素もより求められるようになってきている気がします。

田中様：

コンサルタント経験がある事や、ITバックグラウンドがあることが転職した際に役立ったことは事実ですが、チームの活動を考えると、イノベーティブな思考もさらに必要になってくるように感じています。

呉様：

CRMは顧客接点に関わる部分のため、特にBtoCにおいては身近なテーマでもあります。そうしたテーマに対するイノベーションとしては女性の視点や、グローバルとの比較に関する視点をもっている方にも活躍の機会は大きいと感じています。

movin:

本日はありがとうございました。