movin:

次にPwC海外法人との連携や海外プロジェクトに関するお話しをお伺いできますでしょうか。

樋崎様：

私も最近までベトナムに行っておりましたが、APACの会議でPwCベトナム法人の方からある業界に詳しい人間が日本側から必要だと依頼を受けたことが背景だったのですが、このような海外との連携はかなり頻繁にあります。特にM&Aなどにおいては、買収対象企業が海外にある場合などもあり、M&A候補企業の絞り込みや実行可能性調査など、現地オフィスと連携して進めることは結構ありますね。

movin:

PwCの海外法人で働く可能性もありますか。

樋崎様：

グローバルモビリティ制度がありますね。年に一度、海外赴任希望者を募集して、あとは需要と供給のマッチングになりますが、希望する国に人材の受け入れニーズがあり、条件が成立すれば出向可能な仕組みです。ただ、コストやビザの問題などもありますし、国内できちんと結果を出していることが大前提ですね。海外法人との協働経験でも成果を挙げたうえで、「彼が来ると自国のビジネスが発展する」と評価された人にはいくらでもチャンスがあるはずです。

movin:

よくわかりました。ありがとうございます。
Strategy&における英語力の重要性はいかがでしょうか。

樋崎様：

英語は話せないと厳しいかもしれませんね。また単純な語学としての英語力だけではなく、多様性（Diversity）を受け入れられるとか、好奇心があって色々なことに対してアンテナを張れるなど、の側面の方が重要かもしれませんね。
また、先ほどお話ししました「異なるものを結合できる能力」を備えていることが大事ですね。
特に、「成長意欲のある方、そして成長し続けるエネルギーの高い方」はPwCのグローバルネットワークの中で活躍できると思います。

movin:

頭脳に加えて、人間的深み、知的好奇心や成長力も求められるということですね

樋崎様：

頭が良いだけですと、どこかで止まっちゃうんですよね。作業が早く正確にできるだけになってしまう。マネージャー以上を目指す場合は特に重要です。

movin:

マネージャー以上になりますと本当にいろんな人を巻き込んで行かなければなりませんからね。

樋崎様：

そうですね。加えて常にアンテナを張り巡らし、「新しいもの」を取り入れて行かなければ、10年前のアウトプットと変わらないものになってしまいかねない、ということなんだと思います。

movin:

次に、人材育成やアサインメントの仕組みなどについてお伺いできますでしょうか。

樋崎様：

育成・トレーニングに関しましては、しっかりやっていきます。旧ブーズ時代から使用しているトレーニングマテリアルパックがありまして、本当にさまざまな分野のトレーニングがあります。まず、一週間かけて20〜30ほどの講座をトレーニング形式で講師が教えていきます。それらのトレーニングマテリアルは常時オープンにされていますので、Strategy&のメンバーならばいつでもアクセス可能です。

その後は、OJTで育成していきます。その際に重要なのは、「本人がどういう業界やテーマでやっていきたいのか」という点です。その意思をメンター経由でしっかりと拾い上げ、毎週実施されるコンサルタントのリソースを調整する社内会議で、個々の希望に近いプロジェクトにアサインできるように考慮する仕組みで運営しています。

movin:

では、かなり希望に沿ったプロジェクトができるのでしょうか。

樋崎様：

勿論、需要と供給のバランスはありますが、基本は希望に添う配慮をしています。ただ、一つの業界とか一つのテーマしかできない人は、業界の垣根が低くなってきている昨今では通用しない人材になってしまうので、メンターを通じて希望は聞きつつも、色々なプロジェクトを経験してもらえるように、年間のデベロップメントプランに沿ってお互い合意のうえでアサインしていくという方針ですね。

movin:

なるほど。次に昇進や評価の基準などについてお伺いできればと思いますが、これらは旧ブーズ時代と同じシステムなのでしょうか。

樋崎様：

そうですね。採用や評価の基準については旧ブーズ時代のままですね。PwCコンサルティングの他チームとは違うシステムで動いてます。

movin:

ワーク・ライフ・バランスについてはいかがでしょうか。

樋崎様：

PwC Japanでは働き方改革に取り組んでおりまして、Strategy&の中でも規定の労働時間内で収まるように取り組んでいます。
ガツガツ仕事をしてバリバリ働いて、倍働けば倍成長するのではないかと考えている人も中にはいるのですが、実際はそうではない気がしています。個人的には、しっかり働いてしっかり遊ぶ、そして色々な人と話すことで人間としての深みを増していくことが大事だと考えています。また、空き時間に本を読んだりするほうが、もっと豊かな人間になれると思っています。働き方改革は、長時間労働のイメージが強いコンサルティング業界全体の大きな課題なのかも知れません。