今、世界の先進企業の間でスポーツビジネスへの関心が高まっている。特にIT(情報技術)をはじめとする技術系企業がスポーツ分野に注ぐ視線は熱い。背景にはスポーツビジネスの特異性があると、関連の動向に詳しい野村総合研究所 経営コンサルティング部 コンサルタントの石井宏司氏は分析する。ただし、スポーツへの支援や、その周辺ビジネスの取り組みは、すぐに結果が出る類のものではない。長期的な視点で取り組む覚悟を決めたとき、スポーツビジネスは多くの恩恵を企業にもたらす可能性を秘めている。(リアル開発会議編集部)
2015年3月、米国ボストンで開催された「スポーツとIT」に関するカンファレンスに豪華な顔ぶれがそろった。米4大プロスポーツに加え、サッカーやテニスといった競技団体のエグゼクティブがスピーカーとして登壇。IBM、グーグル、フェイスブックといったIT企業、ナイキやアディダスといったスポーツブランドなど、そうそうたる世界企業が議論に加わった。
数多くのセッションで登壇者が一様に話したことは、「ITは新たな価値をもたらし、それがスポーツビジネスを劇的に変える」ということだ。スポーツ先進国・米国発の「スポーツ×IT」という黒船は、必ず日本に押し寄せる。なぜなら、世界共通の競技ルールや制度なしに国際大会は成り立たないからだ。
では、米国で盛り上がりを見せる「スポーツビジネス」とは、どんなものなのか。この問いに答えるためには、米国でスポーツビジネスが発展した背景を理解する必要がある。
米国は、製造業の地盤沈下で失業者が都市に流入し、治安悪化や地域経済の低迷が社会問題になっていた。地方の政府や企業は、新たな雇用を創出し、労働者層をサービス業にシフトしつつ、都市再生で地域経済を復活させていく必要性に迫られていたのである。
実は、この再生シナリオでスポーツビジネスは重要な役割を担った。地域に複合的な機能を持ったスタジアムやアリーナを建設し、米4大プロスポーツのチームを誘致する。スタジアムの周辺にはショッピングセンターや住宅地を整備し、雇用と人口を増やしていく。スポーツを核にした都市やコミュニティーを10年単位の長期構想で創出する。これを各地で粘り強く進めた結果が、米4大プロスポーツのビッグビジネス化につながっている。
■四つの特異的構造
ここまでの話は、一見すると駅の周辺に街をつくっていく鉄道ビジネスに似ている。ただし、スポーツビジネスには一般のビジネスとは異なる、以下の四つの構造がある。
(1)価値の起点は「筋書きのないドラマ」
スポーツのゲーム(試合、対戦)における対戦チーム同士の関係は、企業間の競争から見ると非合理的だ。一般のビジネスでは優位性を持って圧倒的に勝つことがいいとされるが、スポーツのゲームでは「ギリギリで競り勝った」「逆転勝ち」というシナリオの方が価値がある。まさに筋書きのないドラマが、顧客に提供する価値となる。
(2)競争相手と観客がセットで存在
一般のビジネスでは、競争相手はいない方がいい。しかし、スポーツは対戦相手がいないと始まらない。対戦相手はライバルであり、強豪である方がゲームの価値が高まる。加えて、観客がいないゲームは、ビジネスとして成立しない。
つまり、「自分/対戦相手/観客」は最初からセットで必要なのだ。しかも、この3者は、競いながら「一緒に良きゲームにする」という協働関係を築くことが重要視される。
(3)インパクトの逓減(ていげん)が起きにくい
一般的な消費では、新しい商品が次々と投入されるプロセスの中で消費者が商品に感じるインパクトは逓減していく。一方、スポーツでは価値をうまく提供することで、体験すればするほど、むしろ価値を高められる。スポーツでの体験は、他者とのコミュニケーションや映像の視聴といったキッカケで思い出として再現され、何度でも味わえる。
五輪やワールドカップ(W杯)のように定期開催される大会では、「あの時の悲劇があったから、今がある」という過去と現在の重なりで、さらにストーリーの価値が増幅する。この特徴をうまくビジネスに織り込むことが、スポーツを長期的に楽しむ顧客を育てる成功モデルだ。
(4)コンソーシアム型ビジネスモデル
スポーツはゲームの周辺に時間的・地理的な広がりを持つすそ野の広いビジネスだ。そこではBtoB(企業間向け)とBtoC(一般消費者向け)のビジネスや、リアルなゲームとメディア・ITのビジネスが共存する。ゲームやチームというコンテンツの発生源を核に複合的なビジネスが乗り入れ、共同で全体を高めながら収益を得るコンソーシアム型ビジネスモデルを形成している。
これは、キャラクターやテーマパークのビジネスに似ている。関係性が複雑で全体をマネジメントしにくい短所はあるものの、複数企業で連携して働き掛けるため、高い確率で市場を創造しやすい。加えて、一過性ではなく、ロングセラーにできる可能性も高い。
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http://www.nikkei.com/article/DGXMZO88559310W5A620C1000000/
2015年 7月21日
日本経済新聞
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