野村総合研究所(NRI)によると、日本における資産運用機関の運用残高は08年度末に約310兆円となり、前年度末に比べ2割弱減少した。
株安や円高による資産価値の目減りが主な要因で、運用収入も同2割減少し、各社の収益環境は急速に悪化している。NRI金融市場研究室上席研究員の堀江貞之氏は17日、ロイターとのインタビューで「09年度も市況の急回復がない限り、損益トントン、または赤字の会社が増える可能性があり、運用機関を取り巻く環境はとにかく厳しい」と述べた。
残高の縮小や減収を受け、運用各社は既に人員削減を含むコスト削減を進めているが、堀江氏は09年度も追加的なコスト削減が予想されるほか、外資系運用会社に絡む事業再編や国内メガバンク系運用会社による統合の検討など業界再編に向けた動きが出てくる可能性もあると指摘した。
<投信残高の回復には2─3年かかる>
NRIの推計によると、生保や信託銀行を含む資産運用機関の08年度末運用残高は前年度末比約64兆円減少し、同社が統計を取り始めた99年度以来最大の減少額を記録した。08年度の運用収入も同1759億円減の約7500億円となり、堀江氏は「07年度までの5年間で収入が約3倍に膨らみ、営業利益率が30%を超えるなど、ほぼ一本調子で成長してきた資産運用ビジネスが大きな転換点に立っている」とみる。
08年度の運用収入の減少率をみると、投資顧問分野は10─20%にとどまったもようだが、公募投信分野は約26%と落ち込みが大きく「投信を運用の柱とする運用会社の中には運用収入が4割以上減ったところもあるようだ」(同氏)という。投資顧問分野については、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が財政融資資金の預託金償還で新規資金を投入したことが資金フロー面でプラスだったが、投信分野では昨年9月の米リーマンショック以降「投資マインドの冷え込みで個人マネーが投資から預金に逆流した」(同氏)ことが響いた。
NRIは、資本市場の時価変動がなく、経済が正常な水準に戻ったと仮定した場合、投信残高が08年3月末の水準に戻るには「早くても2、3年はかかる」と予想している。同社によると、投信の資金流入回復には投資家が保有するファンドの損益率が一定水準まで改善することが必要で、日本株ファンドについては「日経平均1万2000円」、外債ファンドでは「円/ドル106円、円/ユーロ136円」が回復時期を占ううえで目安になるという。
堀江氏は、個人マネーは中長期的には高い利回りを求めて投資性商品に再び向かうとみており、「日本の資産運用ビジネスは成長軌道に回帰できる」と楽観視している。ただ、足元では貯蓄率が上昇し、運用商品のなかで投信や個人年金ではなく国債など安全資産が好まれており、「これらの資金滞留が長期化することが(資産運用ビジネスにとって)最大のリスク」とみている。
<追加的コスト削減や再編の可能性も>
収益環境の悪化を受け、運用各社はコスト削減を加速している。「日本の運用会社の多くは人員に手をつけず、コスト管理に重点を置いているが、外資系では投信の販売会社サポート部門の人員を削減したり、広告費を削ったりしているところがある」(堀江氏)という。09年度についても同氏は「営業コストの引き下げなどさらなるコスト圧縮が続く」と予想する。
ただ、コスト削減のため販社向けサポートを削っている運用会社と、厳しい環境下でもサポートを継続している運用会社とでは「販社側の評価が分かれるため、相場の好転で投資の流れが復活した時には残高や運用収入を積み上げる上で差が出てくる」とみている。
堀江氏はまた、世界的な金融危機が長期化しているため「外資系金融機関の事業再編が進む可能性が高く、その中で運用子会社を売却することもありうる」と予想する。その結果、日本に進出している外資系運用会社で資本構成が変化するケースも考えられるという。さらに、メガバンクが資本を注入した外資系金融機関の日本の運用子会社と、傘下の運用子会社を統合させたり、国内の系列運用会社同士を統合させたりする検討を行う可能性もあるとみている。
(ロイター日本語ニュース 大林優香記者)
2009年 4月11日
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