多くの消費者は一定金額以上のものを買おうとする時、まずインターネットで売れ筋情報やユーザー評価を参照するだろう。データによれば、約7割の消費者が、「企業情報よりユーザー評価を重視したい」と回答している。女性、特に若年層ほどその傾向が強く、「多くの人がよいといっているものならば安心だ」という心理傾向と重なる。たとえば、@Cosmeはユーザー評価サイトの中でもよく取り上げられる成功事例だが、なるほど、化粧品分野のターゲットである若年女性の特性に非常にマッチしたサービスだといえるのである。
あまり人が買っていないようなもの、ユーザーの評価が低いものについては、「何かそれなりの理由があるのだろう」と判断して、検討の俎上に載せない。逆に、売れ筋ランキングの上位や自分と似た属性や志向性を持ったユーザーが高い評価をしているものについては、重点的にそのメリットを比較しようとする。そうすることによって、選択肢を絞り込み、検討すべき情報を効率的に減らすことができるからである。
不特定多数のユーザー評価が重視される理由として、もう一つ言えるのは、評価の「第三者性」が担保されている点である。情報源別のイメージで、「実際の利用者(インターネット上の不特定多数)」が他の情報源を上回って高かったのは、「売れ筋・人気商品がわかる」「流行の先端がわかる」といった多数の動向をみたいとする項目に加えて、「情報が偏っていない」「裏話・豆知識など非公式な情報がわかる」といった第三者性を評価する項目だった。商品・サービスの売れ行きに対して利害関係を持たないユーザーの評価であれば、消費者は信頼できると考えるのである。
不特定多数の評価情報の参照は、情報の一覧性、比較性に優れたインターネットで行われることが多いが、こうした動きをリアル店舗に取り入れて成功している例もある。
無印良品では2012年11月、「ニット・ライク・コレクション」で、凸版印刷が開発したO2Oプロモーションシステムである『いいね!』カウンターを使った試みを実施した。スタッフによるニットコーディネイトをWebと東京・有楽町にある旗艦店で展示し、お気に入りのコーディネイトをフェイスブック経由で一般の消費者参加で選んでもらい、そのカウント数をリアルタイムに店頭で表示した。
新しいO2Oの試みへの興味とともに、SNS上、そしてリアル店舗で人気の着こなし例を「いいね!」の数で実感することによって消費者の購買意欲は刺激され、コーディネイトに使われたニット製品は前年同期比33%増と大きく売上げを伸ばしたという。
日本人はランキング・コンシャスだといわれ、従来から広告や店舗POPなどでは「人気No.1!」「売れ筋ランキング上位!」などの文字が躍っていた。情報のあまりの多さに疲労し、情報収集の意欲が減退しがちな現代においても、こうしたユーザー評価を参照したいとする意識は重視される傾向があることは興味深い。
むしろ選択肢や情報があふれている現代だからこそ、情報収集の効率性を高め、選択肢のスクリーニングを行ってくれるものとして、ユーザー評価に対する期待が高まっているということだろう。
選択肢のスクリーニングを求める消費者の意識は、ブランドに対する価値観にまで影響を与えている。
「シャネラー」、「グッチャー」、「いつかはクラウン」――。「記号消費」という言葉があるように、かつて、ブランドは所有者にステイタス感を与えるものであった。誰もが右肩上がりの生活設計をしていた高度経済成長期には、「ここまで行ったらこのブランドを買おう」というように、消費者はある種の羨望感を持った消費をしていた。しかし今、ブランドにステイタスを求めるこうした意識は薄らぎつつある。
野村総合研究所が2013年春に行った調査で、関東一都6県の20代から50代までの男女に対して、「あなたにとってファッションブランドとは何か」という問いを投げかけたところ、最も回答が多かったのは「『このブランドなら品質に間違いがない』など、品質保証をしてくれるもの」で34%、2番目が「自分のテイストやライフスタイルなどに応じてファッションを選ぶ際の参考となるもの」で30%となった。
消費者にとって、ブランドとは単なるステイタスではなく、「ここのものを買っておけば間違いがない」「さほど外したファッションにはらならない」という保証と、「好みのものが見つかりやすい」というテイストによる選択肢のスクリーニングをかけてくれるものに変わりつつあるのである。
ブランディングをする側からいえば、消費者に対してどのような約束をするかということが非常に重要になる。安心・信頼のブランドとして品質保証をしていくのであれば、その裏付けとして、誠実な企業活動を行っていることや、多くの人に支持されていることを打ち出していく必要があるだろう。
一方、テイストによるスクリーニングを提供しようとするのであれば、消費者に対してより明確なブランドの世界観を打ち出していく必要がある。たとえば、ユナイテッドアローズはセレクトショップというその業態から、バイヤーの目利きによる仕入れに自社開発製品を加えながら、品揃えの独自性を強く打ち出しているファッションブランドグループであるが、年々縮小を続けるアパレル小売市場の中で、安定した成長を続けている。
ブランドを重視する意識は、年々高まる傾向にある。生活者1万人アンケートによれば、「無名なメーカーよりは有名なメーカーの商品を買う」と答えた人の割合は、2000年の32.9%から各回ごとに増加し、2012年には47.3%に達している。
消費者にとってブランドの持つ意味を再定義し、オススメとしてうまく活用していくことが、これからのブランディングに求められているといえよう。
2013年 8月10日
東洋経済オンライン
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