2015年12月に、野村総合研究所がプレスリリースした「10〜20年後に国内労働人口の49%にあたる職業について、人工知能やロボットで代替される可能性が高いという推計」の試算結果は、多くのビジネスパーソンに衝撃を与え、大きな反響を巻き起こしました。
そこで『“未来を変える” プロジェクト』では、この試算に携わった野村総合研究所(以下、NRI)の寺田氏を情報提供者としてお招きし、この仮説をベースとして、「自分たちがどのようにこれからの変化に挑むべきか」、20?40代のビジネスパーソン約50人で議論しました。
導かれた結論と示唆は、「自分の仕事が消えるか生き残るか」という観点ではなく、「そもそも自分の天職とは何か?」「これをきっかけに、あらためて “仕事の目的” とは何か?を考えた」という点に集中しました。
今回のアウトラインです。
INDEX読了時間:6分
人工知能の伸長により刺激される「生産性の重要度の低下」
「天職の3要素」が生産性よりも重要な時代
天職の模索を開始するために今日から着手できる第一歩
・「没頭感」を高めるためにできること
・「自己有能感」を高めるためにできること
・「他者とのつながり」を高めるためにできること
それでは本編です。
人工知能の伸長により刺激される「生産性の重要度の低下」
NRIは今回の発表について、以下の2点を指摘しています。
一つは、労働政策研究・研修機構が「職務構造に関する研究」で報告している601の職業を構成する各種次元(職業興味、価値観、仕事環境、スキル、知識など)の定量データを基に従事する一人の業務すべてを、高い確率でコンピューターが代わりに遂行できる職種に就業している人数を推計し、それが就業者数全体に占める割合を算出している点。
もう一つは、その結果、10〜20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業において、それらに代替することが可能との推計結果が得られた点です。
しかし、この指摘を受けて「自分の仕事が将来的に無くなるのではないか」という危機感や焦りは、今回の議論イベントに参加した方々の間では見られませんでした。主な反応は2種類です。
1.自分の仕事は高度なことをしており、消滅対象ではない
2.代替可能な部分は機械に譲って、自分のコアにシフトすればよい
参加者の声としても、
リスクを取るか、人のネットワークがあれば、仕事のトレンドはあまり気にしなくていいのかも(30代 女性 マーケティング)
“未来を変える”プロジェクトのイベント参加者の中で、人工知能時代に対して、それほど危機感を持っている人はいなかった(30代 男性エンジニア)
などが大勢を占めました。
そして参加者の多くに生み出され、突き刺さった観点は「生産性が人工知能で代替・担保されるようになったとき、本質的に “はたらく目的” がどこにあるかに直面し、考えざるを得なくなる」という点でした。
「天職の3要素」が生産性よりも重要な時代
この「はたらく目的」を考えるにあたって、多くの参加者から出てきたキーワードが、「天職(Calling)」です。天職、英語でいう「Calling」は、天から自分が使命を受け、本来行うべきである仕事のことを指します。しかし、今回の議論の中では、下記の3要素を満たすものが、この「天職」に当たるのではないかという指摘が相次ぎました。
生産性 VS 天職の3要素
◯ 天職の要素1:「没頭感」
没頭感とは、その仕事に取り組む際に深く「熱中」し、時間が経過するのを忘れてひたすら取り組むという状態です。米国の著名な心理学者であるミハエル・チクセントミハイが提唱する理論では、「フロー状態」という表現でも知られています。
この状態になる時間が長い程、人はその時間そのもので高い「幸福感」を得ることができ、成長が促進されると言われています。天職の最初の要素は、この「没頭感」を高い頻度で経験できる点となります。
◯ 天職の要素2:「自己有能感」
自己有能感とは、世の中、自分の外の世界に対して、自分が何らかの形で役立っているという感覚を指します。この感覚が高いことで、人は「自分自身の存在が他者に貢献し、世の中に対しても役立っている」という充実感を得ることができます。
◯ 天職の要素3:「他者とのつながり」
さまざまな活動をする中で、人とつながり、共同で何かに取り組んでみたり、日々一緒に会話をしたりといった「他者とのつながり」は、幸福感に直結することが知られています。ハーバード大学が1938年から実に75年にわたって行った追跡調査を基にした研究では、幸福感に最も強い影響を与える要素が、人間関係であることを指摘しています。
上記に挙げた点以外にも、「成長を享受できるか」など、さまざまな「天職」を定義しうる要素が出ていました。今回は、特に研究などで裏付けがあり、イベント参加者たちの間でも頻出した上記3要素を「天職」の要素として挙げています。
天職の模索を開始するために今日から着手できる第一歩
ここまでにご紹介したように、人工知能が生産性を担保し、仕事における重要なポイントが「天職」であるかどうかにシフトする動きは、確実に訪れています。一方で、その動きは「明日から急に転職したり、起業したり」という非連続なものではなく、ゆっくりとシフトさせ、徐々にその方向性を模索していくものだと考えられます。
そこで最後に、これまでは「生産性(個人にとっては、サラリーなど)」を軸に考えてきた仕事選びや取り組む内容を、より「天職」の軸から考えられるようになるための具体的な取り組みをご紹介します。
「没頭感」を高めるためにできること
「没頭感」に関しては、先程ご紹介した、チクセントミハイ氏による「フロー理論」で整理された下記の要素を、自分の現在の仕事がどの程度満たしているかをチェックすることから始めるのが効果的です。
「没頭感」を高めるためのチェックリスト
これらのいずれかが満たされていない場合には、それを改善するためのちょっとした手立てを講じてみたり、よりこれが満たされそうなポジションや職業へのチェンジを検討してみます。
「自己有能感」を高めるためにできること
人工知能が伸長していく中で、自分自信の「有能感」、役立つ感覚を増していくためには、人工知能とどのように付き合っていくかを想定しながら、強めていくコアな部分、仕事の核となる部分を検討することが有効です。そのための具体的な手立てとして、ハーバードビジネスレビューに紹介されている、バブソン大学の特別教授であるトーマス・ダベンポート氏の論文を参考とした、「人工知能が伸長する中で、人とAIの関係性別に、人が活躍できるパターン」をご紹介します。
人と人工知能の関係性別 人が活躍できるパターン
これらの表を使うと、例えば、自分が弁護士であれば、上記のパターン2「コアアプローチ」を参考にし、法律の細かな読み込みや知識の蓄積よりも、外部のクライアントに効果的な営業をし、関係性と信頼性を高めて顧客獲得力に注力するといった、自分のコアの検討と、磨くべき領域の明確化が期待できます。
「他者とのつながり」を高めるためにできること
他者とのつながりに関して、最初にできることは、「自分がどのようなタイプのつながりが好きで、どのような協働の仕方で幸福感が増すか」を見極めるという営みになります。
具体的には、普段の仕事ではあまり経験しない、新しいタイプの「人との関わり方」を試してみるという方法です。下記に紹介されているような、人と人のコミュニケーションが楽しさとして組み込まれているサービスを試してみることがお薦めです。
?C2Cでのスキル交換が経験できる「Coconala」
?個人からの部屋レンタルが可能な「Airbnb」
?田舎の人たちと直接ふれ合うツアーが経験できる「Tabica」
これらのサービスは、従来にはなかったような、直接的なユーザー同士、サービス提供側との交流などが組み込まれており、自分にとって新しい「人とのつながり」を試すことが可能となります。
人工知能の伸長により、世の中の仕事全般の前提が覆っていく中、その変化を活用し、はたらくための軸のシフトを織り込みながら、これから5年、10年の仕事の取り組みを考えてみてはいかがでしょうか。
2016年 3月3日
DODA
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