●導入コストやサポート体制の負担がEDI導入を阻害する
従来のJCA手順に代わる企業間取引手段として、次世代EDIである流通BMSの普及に業界は大きな期待を寄せている。しかし、その活用には小売企業側がサーバを立てるとともに、取引先(卸・メーカーなど)も自社でサーバやクライアントPCを用意するなど、さまざまな準備が必要となる。特に中小のメーカーや卸などはこれらの導入コストやサポート体制が負担となり、EDI導入が阻まれるケースも多い。流通BMSが今後広く普及していくためには、これらの課題の解消がカギとなっている。
この課題をいち早く問題視していたのが、流通業向けに業務効率化のビジネスコンサルティングやシステム再構築を行うリテイルサイエンスだ。同社は、受注データの受け取りから出荷のデータ出力、返品処理、請求・支払いまで、基本的な受発注業務をパッケージ化した「WinWin-EDI」を開発。流通BMS 対応のEDI導入を、業務アプリケーションの導入から運用サポートまで一貫して支援するサービスとして提供している。
同社はシステム導入による業務効率化に特化するため、データアプリケーション(DAL)の「ACMS Lite」やインターコムの「Biware JXクライアント」、ウルシステムズの「UMLaut/J-XML」など、JX手順(SOAP-RPC)に対応した比較的安価かつメジャーな通信ミドルウェアと、WinWin-EDIを完全連動するよう設計した。
また、現行形式(JCA手順やユーザー定義)と同様の固定長ファイルに変換することで、経理や財務などのほかの自社システムと連携できるため、カスタマイズすることなく流通BMSへの移行を可能にする。
●コールセンターによるサポートにも対応
WinWin-EDIの基本ライセンスに含まれる年間の保守サービスには、本ソフトのインストールを含む利用開始時の電話サポートが含まれる(初年度必須で次年度からは1年間の自動更新)。また、EDI支援パッケージベンダーには珍しく、コールセンターによる問い合わせ対応(365日、 9:30〜21:00)も利用できる。コールセンターは流通業の業務に長けたアウトソースを活用しており、土日や年末年始など流通業企業にとっての書き入れ時にもサポートが受けられる。PCに不慣れな店長などを抱える中小企業にとっては安心材料といえるだろう。
また、流通BMSで標準となった「出荷梱包ひも付け有り/無し」データの作成機能も基本ライセンスに含まれる。バーコードリーダーでピッキング後の商品と別途発行のSCM(Shipping Carton Marking)ラベル(※)を読み取り、「出荷梱包ひも付け有り」データを作成することもできる。
(※)SCMラベル:企業間での物流や検品作業を簡素化・効率化するために内容明細や伝票番号を表示するための納品ラベルのこと。EDIであらかじめ伝送された事前出荷通知ASN(Advanced Shipping Notice)とSCMラベルを照合させることで、箱を開けなくても受け入れ検品と店舗別仕分けができ、大幅なコスト削減と物流のスピード化が可能となる。
●ファイル交換型EDIを本命に開発
「大手メーカーや大手卸などはともかく、中小規模の企業にとって流通BMSはまだまだハードルが高い。通信ソフトのみでは彼らの参加は難しく、ファイル交換型のEDIによる業務パッケージとの組み合わせが必要だった」と語るのは、同社取締役副社長の今渕真太郎氏だ。
WinWin-EDIはWeb EDIが注目された2002年ごろ、ニュートラルが開発したBACREX(バクレックス)標準を用いた中堅小売企業向けWeb EDI支援パッケージがベースとなっている。Web画面だけでデータ交換を可能にしたことがそのプロダクトの売りだったが、食品スーパーやドラッグチェーンなど、毎日もしくは週何度も定常的に受発注を行う小売業にとっては、Web画面上で受発注業務を行うのは非効率だ。そのため、双方にデータが残るファイル交換型のEDIを基本とした。
「Web EDIの画面設計は各社それぞれに異なり、ファイルの中身も異なるため、小売業ごとに対応せざるを得なかったが、流通BMSという業界統一基準になったことで、メッセージがXMLに統一され、通信手順も業務フローも標準化されたため、広く普及する可能性が出てきた」と今渕氏は述べる。
●WinWin-EDI導入事例ハイライト
CGC(Co-operative Grocer Chain)グループ
CGCグループは全国の中堅・中小スーパーが結集したコーペラティブチェーン(独立した小売業者による協業結合体組織)で、加盟企業総数約220社、総合店舗数3300店、グループ年商3兆8000億円を誇る。同グループは2007年10月に流通BMSの実稼働を開始し、中小規模取引先向けの推奨ソフトウェアの1つとしてWinWin-EDIを採用した。グループ内企業が一斉に流通BMSへ移行するのは難しいため、加盟企業と取引先を結ぶ「CGC- EDIセンター」を設置し、同センターでレガシーのJCA手順と流通BMSの相互変換を行い、両方式が併存できるようサポートしている。ある加工食品卸では、発注データの受信にかかる時間を40分から2分に短縮し、出荷確定データの送信は20分から1分に短縮した。また、ある加盟企業では月間40万枚使用していた伝票の完全ペーパーレス化を実現し、月間160万円のコスト削減に成功したという。
成城石井
食品スーパーの成城石井は、メッセージ通信にDALのACMSを活用し、クライアントの業務アプリケーションにWinWin-EDIを利用している。注目すべき点は、WinWin-EDIの販売元である日本ラッド情報サービスと一括契約し、WinWin-EDIの機能を各取引先へ貸し出していること。通常なら、通信+業務パッケージの導入には廉価なJX手順でも30万円前後の初期費用が掛かるが、レンタル方式によりインターネットにつながるPCさえあれば、小規模な取引先であっても月額利用料だけで流通BMSへの参加を可能にした。同時に、導入時のサポートとして電話対応や現地でのインストール、疎通テスト、操作説明などがオプションで利用でき、稼働後もコールセンターでのサポートが受けられるなど保守体制を用意したこともポイントだ。
●流通BMS普及のカギは中小規模取引先への浸透
一般的な店舗では、全体の2割の取引先で仕入れ額全体の8割をカバーすると考えられるが、EDIの観点ではまったく逆になる。つまり、大手中心に仕入れ額の8割をEDIでカバーできたとしても、取引社数全体では2割に満たないことになるからだ。そのため、「取引で処理する伝票数を考えると、業務効率化のためには中小の取引先のEDI化率を高めることが重要になる」(今渕氏)。
その点、WinWin-EDIのような必要な業務をほぼすべてサポートする比較的低価格なクライアントパッケージの役割は大きいと今渕氏は考えている。成城石井のように小売りが協力して、買い取りではなく利用料で使えるような環境を整えれば、さらに普及が促進されるだろう。
なお、そのようなハードルを下げるサービスも一部で始まっている。リテイルサイエンスと協業する住商情報システムは、WinWin-EDIをインストールしたアプライアンス製品の販売を2009年4月から開始した。駆動部品のない小型のMicroPCを活用し、サーバやネットワーク機器、EDI通信ソフトなどを準備することなく、ディスプレーだけで流通BMSに低コストかつ短期で対応できるので、取引関係にある幅広い企業での運用が可能になる。
●データセンターをバックアップとして利用できる新サービス
また、今後については利用企業がリテイルサイエンスのデータセンターにデータをコピーできるサービスの提供も検討している。万一取引先のPCにトラブルが発生した際には、データセンターをバックアップとして利用できるとともに、過去データの検索性を高めることが可能になるという。「大手小売チェーンも WinWin-EDIの採用を決定している。流通BMS普及のカギを握る業務パッケージベンダーとして認識を新たにするとともに、製品の機能強化と、導入・保守体制もさらに工夫を加えていく」
2009年 7月18日
TechTargetジャパン
ウルシステムズに関するニュースをお伝えします。どう動いているのかをWatchすることで、今後の動きを展望することができるはずです。 ウルシステムズ関連ニュース
戦略系コンサルティングファーム
マッキンゼー アンド カンパニー(Mck)ビジネス&ITコンサルティングファーム
パクテラ・コンサルティング・ジャパン財務アドバイザリー系ファーム
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー(DTFA)日系/国内独立系コンサルティングファーム
リブ・コンサルティング企業・事業再生、ハンズオン系コンサルティングファーム
アリックスパートナーズ監査法人一覧
あらた監査法人総合系コンサルティングファーム
アクセンチュア(AC)シンクタンク系
NTTデータ経営研究所組織人事/チェンジマネジメント系ファーム
マーサー ジャパン医療・ヘルスケア系コンサルティングファーム
メディヴァ業務&業界特化系コンサルティングファーム
グリーンフィールドコンサルティング人気コンテンツ
プライベート個別相談会開催中 キャリア相談会 コンサル転職に関する疑問・不安はプロに聞くのが一番早い!ざっくばらんに話せる個別相談会を随時実施しています。今すぐの転職をお考えでない方も歓迎していますのでお気軽にご相談ください。
個別相談会開催中! 書籍出版記念 久留須シニア・パートナー特別キャリア相談会 久留須シニア・パートナーの書籍出版を記念してコンサル業界のこと、キャリアのこと、をお答えする特別キャリア相談会を開催します!
22024年6月1日(土) 締切:2024年5月9日(木) ベイン・アンド・カンパニー 1日選考会 同社の中途採用選考は原則として選考会のみで行っております。世界的な戦略コンサルティングファームであるベイン・アンド・カンパニーにて一日選考会が開催されます。
2024年5月21日(火)19:00~20:30 締切:2024年5月12日(日) ドリームインキュベータ(DI) キャリアセミナー ケース面接対策も実施されます!日系戦略コンサルファームのドリームインキュベータにてキャリアセミナーが開催されます。執行役員(パートナー)、シニアマネジャー、ビジネスプロデューサーが参加しますのでドリームインキュベータの理解がかなり深まると思います。
2024年5月7日 (火) 19:30-21:30 締切:2024年4月29日(月・祝) A.T.カーニー プラクティス オンラインキャリアセミナー 外資戦略コンサルティングファームのA.T.カーニーにてキャリアセミナーが開催されます。日本代表 関灘による会社紹介およびサービス別のプラクティスチームごとに分かれて、参加者からもインタラクティブに質疑・相談頂けるカジュアルなセッションを予定しています。
2024年4月25日(木)19:00~20:00 締切:2024年4月23日(火) EYストラテジー・アンド・コンサルティング ITコンサルタント キャリアセミナー TC-Technology Transformationではテクノロジー全領域に亘り、戦略策定から導入支援に至るまでの包括的なサービスを提供し、クライアントの競争力強化を支援。ITプロフェッショナルとしてプロジェクトに参画する。
2024年5月16日(木)18:30~19:45 締切:2024年5月12日(日) PwCコンサルティング X-Value&Strategyチーム キャリアセミナー 新規事業戦略や成長戦略、M&A戦略策定・実行などを一貫して支援するX-Value&Strategyチームにてキャリアセミナーが開催されます!提供サービスや注力ソリューションの他、コンサルタントとの座談会も予定されている貴重な機会なので、興味のある方はぜひご参加ください。
2024年4月23日 (火) 18:00~18:45 クニエ CPチーム(消費財) キャリアセミナー 日用雑貨・化粧・食品・飲料などの消費財業界出身者は是非この機会ご参加ください!NTTデータのグループとしてコンサルティングを手掛ける総合系ファームであるクニエのCP(消費財)でコンサルタントを目指す方向けにキャリアセミナーを開催されます。
SDGsプロジェクト始動! ムービンは持続可能な開発目標を支援しています ムービンはSDGsに賛同し、これからも持続可能な社会の実現に努め、 森林資源や水資源を守る環境保護の取り組みとして、持続可能な森林の再生と管理に貢献しています。
ムービンでは今すぐのご転職でなくても、今後のキャリア形成や、ご転職に向けての中長期的なプランを共に考え、具体的なアドバイスをさせて頂いております。コンサルティング業界にご興味のある方はご自身では気づかれない可能性を見つけるためにも是非一度ご相談ください。
PICKUP
20年以上にわたりコンサル業界に特化したご転職支援を行っています。スタッフも少数精鋭でホンモノの人脈・情報を有しております。
コンサルティングファームはもちろん、国内・外資の大手事業会社をはじめ、ファンド、投資銀行、ベンチャーなど様々な支援実績がございます。
コンサル業界専門だからこそ各コンサルティングファームの圧倒的な情報量を保有しており、戦略系、総合系(BIG4)、IT、人事など外資系日系を問わず、国内大手の有力ファームすべてがクライアント
株式会社ムービン・ストラテジック・キャリア
Copyright (c) Movin Strategic Career Co., Ltd. All rights reserved.
バックグラウンド・出身業界
で探すコンサル転職CAREER PATTERN
Copyright (c) Movin Strategic Career Co., Ltd. All rights reserved.