転職を検討する際、多くの方が気になるのが「転職成功率」ではないでしょうか。実際、どの程度の人が転職に成功しているのか、また、成功する人とそうでない人の間にはどのような違いがあるのかは、重要な関心事です。

本記事では、厚生労働省のデータに基づき年代別の転職成功率を明らかにするとともに、転職を成功させる人の共通点や、成功率を具体的に上げるための秘訣について詳しく解説します。

まず、転職市場における成功率の現状をデータから見ていきましょう。
【参考： 厚生労働省資料「中途採用に係る現状等について」】

厚生労働省のデータによると、15歳以上の男女の転職希望者のうち、実際に転職に至った人の割合は全体で45.2％となっています。約半数弱の人が転職を実現している状況です。

転職成功率は、年代によって顕著な差が見られます。

20代:
･20~24歳: 60.7％
･25~29歳: 50.3％

30代:
･30~34歳: 41.9％
･35~39歳: 41.9％

40代:
･40~44歳: 36.2％
･45~49歳: 36.6％

50代:
･50~54歳: 35.4％
･55~59歳: 38.2％

データからは、20代、特に前半の成功率が最も高く、年齢が上がるにつれて徐々に低下していく傾向が読み取れます。

なぜ年代によって転職成功率に差が出るのでしょうか。主な理由として以下が考えられます。

20代:
ポテンシャル採用が中心となり、未経験職種への挑戦も比較的容易です。特に「第二新卒」と呼ばれる層は、ポテンシャルが重視される傾向にあります。また、若年層の転職が増加している背景もあり、企業側も若手人材の採用に積極的です。

30代:
これまでの実務経験に加え、マネジメント経験や専門スキルが求められるようになります。キャリアの方向性が固まり、専門性を深める時期です。

40代以降:
即戦力として高い実績や専門性、マネジメント能力、人脈などが評価されます。一方で、求人数自体が減少し、企業側の採用基準もより厳しくなる傾向があります。しかし、自身の市場価値を正確に把握し、企業が求める人物像と合致することを的確にアピールできれば、成功の可能性は十分にあります。リーダーシップや高度な専門スキルが重要な鍵となります。

転職活動において、結果を左右する要因は何でしょうか。成功する人と失敗する人の間には、主に以下の3つの点で違いが見られます。

転職に成功する人々は、以下の3つの要素を徹底している傾向があります。

1.徹底した自己分析:
･自身の強み、弱み、保有スキル、これまでの職務経験で活かせることを明確に把握しています。
･過去の業務経験やプロジェクトを具体的に書き出し、そこで挙げた成果を定量的（数値など）および定性的（具体的な状況や工夫など）に整理しています。
･これにより、「営業職として目標達成に貢献できる」「リーダーシップを発揮してチームをまとめられる」など、企業に対して自身がどのように貢献できるかを具体的に説明できます。

2.深い企業分析:
･応募する企業の文化、価値観、事業内容、将来性などを深くリサーチしています。
･特に、応募するポジションで求められているスキルや役割を正確に理解しようと努めます。
･「その企業の課題は何か？」「自分の経験やスキルでどのように貢献・解決できるか？」を事前に考察し、面接に臨みます。これにより、志望理由にも説得力が生まれます。

3.綿密な対策準備:
･履歴書や職務経歴書を、応募する企業やポジションに合わせてカスタマイズしています。単なる経歴の羅列ではなく、自身の経験やスキルが応募先でどのように活かせるかを具体的に記述します。
･面接で想定される質問への回答を事前に準備し、模擬面接などを通して繰り返し練習しています。これにより、本番でも落ち着いて、かつ一貫性のある受け答えが可能になります。

一方で、転職活動がうまくいかないケースでは、成功者の逆のパターンが見られます。

1.自己分析の不足:
･自分の強みやスキル、キャリアの方向性が曖昧なため、企業に対して効果的なアピールができません。
･「なんとなく良さそうだから応募した」という状態では、採用担当者の心に響くアピールは難しいでしょう。

2.企業分析の不足:
･応募企業のニーズや価値観、事業内容を十分に理解しないまま選考に臨むため、面接での質疑応答が噛み合わなかったり、入社後のミスマッチが発生したりするリスクが高まります。
･企業の求める人物像からずれたアピールをしてしまう、自分の話ばかりしてしまうといった状況に陥りがちです。

3.対策準備の不足:
･履歴書や職務経歴書の内容が汎用的であったり、誤字脱字があったりするなど、書類の完成度が低いケースです。
･面接においても、「行けば何とかなる」という姿勢で臨み、準備不足から質問に的確に答えられなかったり、転職理由や志望動機、キャリアプランに一貫性がなかったりします。

では、転職成功率を具体的に上げるためには、どのような行動を取れば良いのでしょうか。以下の3つの秘訣を意識することが重要です。

1.自己分析と企業分析のマッチングを意識する:
･自己分析で明確になった自身の強みやスキルと、企業分析で把握した企業が求める人物像やスキルを照らし合わせます。
･例えば、「顧客折衝能力が高い」という強みがあれば、その能力を活かせる営業職やカスタマーサポート職などを中心に応募企業を選定し、書類や面接でその点を具体的にアピールします。
･このマッチングを意識することで、応募書類のアピールポイントが明確になり、面接での質疑応答もスムーズになります。求人選びの段階から、成功の確度を高めることができます。

2.基本的なマナーと面接対策の徹底:
･面接時の服装、時間厳守、言葉遣いといった基本的なビジネスマナーは、意外に見落とされがちですが、第一印象を大きく左右します。
･想定される質問への回答を準備するだけでなく、模擬面接を行いましょう。スマートフォンで録画して客観的に見返したり、家族や友人に面接官役を頼んでフィードバックをもらったりするのも有効です。改善点を洗い出し、修正していくプロセスが重要です。

3.転職エージェントの効果的な活用:
･転職エージェントは、転職市場や企業情報に精通したプロフェッショナルです。客観的な視点からのアドバイスは、一人で活動する際には得難い大きなメリットとなります。
主なメリット:
･希望条件に合った求人の紹介
･履歴書・職務経歴書の添削、面接対策のサポート
･一般には公開されていない非公開求人の情報提供
･応募先企業の詳細な情報（社風、部署の雰囲気など）の提供
･自己分析の深掘りや企業選び、選考対策など、転職活動の多くの側面でサポートを受けられるため、積極的に活用を検討しましょう。

本記事では、厚生労働省のデータを基にした転職成功率の現状と、転職を成功させるための重要なポイントについて解説しました。

転職活動は、将来のキャリアを左右する重要な転機であり、不安を感じる方も多いかもしれません。しかし、「自己分析」「企業分析」「対策準備」という3つのポイントをしっかりと押さえ、計画的に準備を進めることで、成功の可能性は大きく高まります。

今回ご紹介した内容を参考に、ご自身の強みを活かせる最適なキャリアを見つけ、納得のいく転職を実現してください。