転職活動において、応募書類の提出は最初の関門です。実は、企業はこの書類選考を通過した人材に対して、「ぜひ採用したい」と考えているケースが多いのです。しかしながら、「書類は通るのに面接で落ちてしまう」という声が多いのも事実です。

この記事では、なぜ書類選考を通過しても面接で不採用になってしまうのか、その理由を紐解き、書類通過後の内定率を飛躍的に高めるための具体的な対策をご紹介します。

まず、書類選考通過後の内定率について見てみましょう。人材サービス大手マイナビ社のデータによると、選考プロセスにおける通過率は、書類選考が約30%、一次面接が約30%、最終面接が約50%という数字が出ています。

単純計算すると、100人が応募した場合、書類選考を通過するのは30人。そのうち一次面接を通過するのは約9人、最終的に内定を得られるのは4?5人程度となります。つまり、書類選考を通過した人の中でも、内定に至るのは20%弱という厳しい現実があります。

しかし、ここで強調したいのは、企業は書類選考通過者を採用候補として高く評価しているという点です。

企業が求人を行う際、募集ポジションに必要なスキルや経験を明記しています。書類選考では、まずこの「必須要件」を満たしているかを確認します。応募者の経歴やスキルが求人内容に合致していれば、書類は通過します。ポテンシャルを考慮して通過する場合もありますが、基本的には「書類上の情報で判断する限り、この人は採用要件を満たしている」と企業は考えているのです。

では、なぜ企業が採用したいと考えているはずの候補者が、面接で不採用となるのでしょうか？

面接で落ちた理由を自己分析する際、多くの方が以下のように考えがちです。

･スキルや経験が足りなかったのではないか？
･自己アピールがうまくできなかったのではないか？
･ロジカルな説明ができなかったのではないか？

もちろん、これらが要因となるケースもありますが、実は、これらが不採用の主要な理由ではないことが多いのです。

大手人材サービス会社パーソルキャリア（※元台本参照ですが、一般論として記述）などの情報によると、企業が面接で不採用とする主な理由は、むしろ以下のような基本的な点にあると指摘されています。

･面接マナーが守れていない（挨拶、身だしなみ、態度など）
･応募企業について調べていない（企業理念や事業内容への無理解）
･話に一貫性がなく、矛盾している（その場しのぎの回答が多い）
･ネガティブな発言が多い

これらは非常に基本的なことですが、意外とできていない方が多いのが実情です。逆に言えば、これらの基本をしっかりと押さえるだけで、面接通過率、ひいては内定率を大きく向上させることが可能です。

では、書類選考通過後に面接で確実に評価されるためには、具体的にどのような準備をすれば良いのでしょうか？重要なのは以下の3点です。

1. 徹底した「企業研究」と「自己分析」

･企業研究: 企業の公式ウェブサイト、ニュースリリース、近年では公式SNSやYouTubeチャンネルなども活用し、企業のビジョン、文化、事業内容、最近の動向などを深く理解しましょう。製品やサービスがある場合は、実際に触れてみることも重要です。その上で、「自分がこの企業でどのように貢献できるのか」を具体的に語れるように準備します。
･自己分析: 自身の強み、経験、スキルを客観的に振り返り、企業の求める人物像やスキルセットと、自身の経験がどのようにマッチするのかを整理します。これを明確にすることで、説得力のある自己PRや志望動機を語ることができます。

2. 基本を確実に押さえる「面接マナー」

挨拶、お辞儀、姿勢、言葉遣い、清潔感のある身だしなみなど、基本的なマナーは第一印象を大きく左右します。オンライン面接であっても、対面と同様に気を配りましょう。また、話す内容も重要です。たとえ前職での失敗談や課題について話す場合でも、そこから何を学び、次にどう活かそうとしているのか、ポジティブな視点で締めくくることが大切です。

3. 矛盾を防ぐ「一貫性」

自己PR、志望動機、過去の職務経験、キャリアプランなど、面接で話す内容全体に一貫性を持たせることが重要です。応募書類に書いた内容と面接での発言が食い違っていたり、その場しのぎで矛盾した回答をしたりすると、信頼性を損ないます。企業研究と自己分析をしっかり行い、想定される質問に対する回答の軸を準備しておくことで、一貫性のある受け答えが可能になります。

書類選考を通過するということは、企業があなたのスキルや経験に魅力を感じ、「採用したい候補者」として認識した証拠です。しかし、内定を獲得するためには、面接という次のステップを突破する必要があります。

面接で不採用となる原因は、スキル不足やアピール不足と自己判断しがちですが、実際には「企業研究」「自己分析」「面接マナー」「一貫性」といった基本的な準備不足が大きく影響しています。

「書類は通るのに面接がどうも苦手だ」と感じている方は、今一度これらの基本に立ち返り、しっかりと準備を進めることで、内定獲得への道が拓けるはずです。