「コンサルタント」という職業は知的な専門職として華々しいイメージもあり、転職市場においても人気のポジションになりましたが、どのような人が向いているのでしょうか。
どんな職業でも向き不向きはあります。コンサルタントという職業も例外ではなく、その適性によって一人前のコンサルタントとして独り立ちできる期間は大きく違ってくるでしょう。
ここではコンサルタントに向いている人はどんな人なのか＝コンサルタントとして必要な適性（マインド・スキル）としてご紹介していきます。

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自分がコンサルタントに向いているのか、また転職できるのか気になる方はぜひお気軽にご相談ください。

コンサルタントに向いている人について紹介する前に、まずコンサルタントとは？そもそもコンサルティングとは？何かをお伝えします。

コンサルティングとは「企業の経営課題において、その解決策を指南、サポートすること」であり、その企業が現状置かれた状況を分析・診断し、あるべき姿へと助言、時には一緒に伴奏しながら解決へと導いていくことです。
「コンサルティング」を提供する専門家をコンサルタントと呼びます。簡単に言えばコンサルタントの仕事は「クライアント企業をいかに儲けさせるか」に尽きます。

コンサルタントは、それぞれが専門性を持って問題解決に従事しており、例えばプロジェクトの種類でいうと経営戦略、IT、人事、金融・財務、など細かく分かれており、業務内容も異なります。呼び方も経営コンサルタント、ITコンサルタント、人事コンサルタントなど様々あります。
コンサルタントとは？

コンサルタントの業務内容からコンサルタントに向いている人の特徴をご紹介します。ご自身が当てはまるかチェックしてみるといいかもしれません。

基本的なポイントになりますが、コンサルタントには体力が必要です。
コンサルタントは知的で華々しく、かっこいいといったイメージが先行しがちですが、クライアント企業の課題解決のための調査・分析、チームでの仮説検証・ディスカッション、クライアントとの折衝など様々な業務があり、泥臭い一面もあります。またクライアント企業にとっては出来る限り早く問題解決をしたいというのが本音ですから、そのためにコンサルタントは夜遅くまで課題解決のためのハードな業務を行うこともあります。

単にパソコンや資料からレポートを作り、企業へ課題解決のための指南をするだけではありません。クライアント企業の業務改善のため現場に入り込んでコンサルティングを行うこともあるためタフな場面も出てくるかと思います。
現役コンサルタントに方々に伺うと、体を使うというよりも頭を使っているため、疲労感としては清々しい部分もある、苦労して導き出した課題解決がクライアント企業でうまくいったケースを見ると大きなやりがいを感じ疲れを忘れる、と仰っている方もいらっしゃいました。

ただ、これが毎日というわけではなくプロジェクトにおいても忙しさの高低はありますし、1つのプロジェクトが終わった段階でリフレッシュ休暇を設けているファームもあります。
近年では働き方改革から無理な残業を避けて、ワークライフバランスを考えたプロジェクトスケジュールを引くケースもありますが、前述の通りクライアント企業にとっては喫緊の課題のため多忙な時も当然あるためコンサルタントにとって体力は重要な必要スキルになってきます。

コンサルタントの仕事は最終的に「クライアントの収益をあげること」で、企業の経営課題を明らかにし問題解決することが業務です。 決められた期間の中で、ゼロの状態からスタートし情報収集や仮説検証、効果測定などを通じて高品質のサービスを提供しクライアントの期待を超える必要があります。
そのためコンサルタントにはこのプレッシャーに耐えられるメンタル・精神力の強い人が向いていると言えます。

論理的思考能力については、よく聞くワードの一つかと思います。
関連するビジネス書籍が多く出版されており、コンサルティング業界だけでなく一般事業会社においても広く知れ渡っており、すでに何冊か読まれた方もいらっしゃるかと思います。
この論理的思考は、物事においての道筋が通っていることで、根拠・理由があり結論があると提示することで、コンサルタントにとっては重要なスキルの一つです。
コンサルタントは答えない課題を解決することが仕事です。その道筋を作るためには仮説検証を繰り返し、論理的にプロセスを進めなければクライアント企業も納得はしないでしょう。
論理的思考能力はコンサルタントの根本的な素養の一つとなっています。

コンサルタントとして成果を出していくには強いプロ意識が必要です。
要求された仕事をこなすだけでなく、相手の期待を超えるような「付加価値」を常に生み出さなくてはなりません。 その為には、常に自分自身の高い価値観と高い基準点を持ち、クライアントの成功に向け、心からプロジェクトに没頭出来るようでなくてはなりません。

何よりも大切なのは、目の前の課題に対して明確な結論を出すことです。一般論を並べて話がどちらに転んでもよいように無難な言い方に終始するコンサルタントも中にはいます。しかし、そのような姿勢では顧客から支持されません。 情報が不足しているなら、経営方針や同業他社の動向、顧客ニーズや現場業務の流れなどを調査し、得た情報を分析整理して、はっきりとした答えを出す責任があります。また、熟考の末に出した結論であれば、たとえ相手が目上の人であろうと、自信をもって伝える姿勢も必要です。

コンサルタントの仕事は仮説検証を繰り返し、クライアントにとって有益な解決策を見出すことです。 物事に対して深堀しながら答えを突き詰めていくため、なぜ？なぜ？といった知的好奇心がある方はコンサルタントに向いていると言えるでしょう。

またコンサルタントが扱う問題の中には一見解決不可能な問題もあります。もう答えはない、とネガティブにならず絶対に正解はある！絶対に見つける！といった前向きな姿勢、考え抜く粘り強さがコンサルタントには欠かせません。 知的労働、考えることが好きな人はコンサルタントに向いているかもしれません。実際にファームではプロジェクトのことや、ちょっとした相談から他メンバーと白熱した討論になることもあるそうです。

コンサルタントは日々の社会情勢や、専門領域の業界の最新情報・知識を常に補完していかなければいけません。
それだけでなく、顧客が属する業界や業務知識、新しいコンサルティング手法についても貪欲に学ぶ姿勢が必要です。とにかく多くの分野に幅広く関心をもち、勉強好きであることが求められます。
したがって、自身で自己研鑽すると共に、年下・年上関係なくだれからも学んでいこうという姿勢が重要です。
先日インタビューした、ある現役コンサルタントの方は「誰からも学ぶ素直さ」がコンサルタントにとって一番重要だと語っていました。中途採用の場合、年下で上司ということは少なくありません。プライドからアドバイスを避けていては一人前のコンサルタントになるのは難しいでしょう。

人間的な魅力も非常に大事です。クライアントにはプロフェッショナルの立場で接し、時には耳に痛いことも言わねばなりません。初めから出来る人はなかなかいませんので、プロジェクトで経験を積み人間性、コンサルタントとして成長していかなければならないでしょう。
さらに、コンサルタントは礼儀正しくあるべきで、必要以上に恰好をつけたり、相手を見下した態度をとったりするのは厳禁です。同時に、顧客を怖がらず、毅然とした態度を貫くことも大切です。
そして、やはりプロジェクトを成功に導くためにはクライアントにも、社内チームにも不可欠なコミュニケーション力も要求されます。伝えるべきことを正しく伝えるためには、話上手でなければなりません。また、それ以上に大切なのは聞き上手であることです。顧客にいかに共感してもらい、重要な情報を聞き出すことができるか？が仕事の質に直接影響します。

コンサルタントはコンサルティングプロジェクトの成功のため、ファクトを集め仮説検証し導いていきます。 時にアクシデントやタスクが遅れたり、様々なトラブルが起こることがありますが、これらについてコンサルタントはリスクヘッジ、立て直しながらプロジェクトを進めていかなければいけません。
またコンサルタントとはいえ、ヒト対ヒトでソリが合わない、やりにくいといったこともあるかもしれません。こうした時もプロフェッショナルとして業務遂行する義務がありますので、しっかりとステークホルダーをコントロールしながらプロジェクトを推進していきます。

近年のコンサルティングは日本発のグローバルプロジェクトが多くなりました。日本では少子高齢化、給与横ばいなど、景気が良い悪い関係なくGDPの伸び悩みが続いており、国内大手企業もここ十数年で海外へと飛躍の地を求めていった企業が数多くあります。
コンサルティングファームの多くはこうした国内大手企業がクライアントとして多いため、必然的にグローバル案件が多くなっていくわけで、英語力があるとよりこうしたプロジェクトへアサインされやすくなります。
また今後さらにグローバル化が進んでいきますので、海外も視野に入れたキャリアパスも実現できるかもしれません。

コンサルタントの多くは、「○○業界をグローバルで戦えるようにしたい」「日本の医療を変えたい」「社会に貢献できるプロジェクトを成果を出したい」など少し青臭いかもしれませんが、こうした想いを持っています。
その想いが原動力となるとともに、コンサルティングファームもこうしたパッションを持った人材を評価し、採用する傾向があります。
実際に面接において、この業界をどうしたい？10年後20年後はどうなっていたい？など将来のビジョンを問われる質問をされる場合があります。この質問に対して謙虚な姿勢や過少な表現はせず、堂々と答えて良い場面です。ただしコンサルですので、なぜそう思ったのか、そのためには自分は何をしていかなければいけないのか、しっかりと論理的に答えるようにしましょう。

理系の方は問題ないかと思いますが、文系の方も最低限の数字への強さは必要です。
どんな数字かというと、まずは仮説検証のためのフェルミ推定や、財務諸表を読めなくては具体的なプランに落とし込むことが出来ません。またクライアントに対して納得感を持ってもらうためには定性ではなく定量で示す必要もあり、数字は切っても切れない縁なのです。
難しい数式などを使うことはありませんが、最低限の数学知識はあるべきであり、これからビジネスパーソンとして活躍していくためにも数字への強さは身につけていくべきでしょう。

コンサルティングは解のないプロジェクトです。フレームワークや進め方はあれど、決まったパターンに落とし込むというコンサルティングはありません。 なぜなら業界が同じでも企業ごとに置かれている状況や事業内容、保持している商品プロダクト、社風・カルチャー、消費者・得意先など様々です。企業の課題はこれらが複雑に絡み合い問題となっているケースが多く、一つ一つピースをひも解いていくわけなので、そこにきまった答えはありません。
もしかしたら仮説は立てたが、解決に至らずプロジェクト失敗になるかもしれません。コンサルタントはこうした答えのない問いに毎度ぶつかっていかなくてはいけないため、むし苦しい局面を楽しめる方や、これを乗り越えれば自分もファームもクライアントも成長できるとポジティブに動ける方がコンサルタントに向いているかと思います。

確かにコンサルタントは圧倒的な成長を見込める職業の一つですが、周りのサポートあってこその成長です。独りよがりでは周りは誰もついてきません。
自分だけでなく、クライアント企業の成長のため、そしてそのプロジェクトから吸収したものを自分自身に、そして自社のファームにメンバーにと、利他の精神とまではいきませんがプロジェクトに関わるすべてにおいて高い頂きを目指せる方がコンサルタントとしても成功するでしょう。

弊社ムービンで各コンサルティングファームの代表・パートナーの方々へインタビューさせて頂いた中から求める人材像についてまとめてみました。 マインド面でどんな人がコンサルタントに向いているかわかるかと思いますのでご参考になれば幸いです。

モニター デロイト 藤井 剛 氏
ジャパンリーダー、Consultingビジネス CVO (Chief Value Officer)兼務
自身で関与したい、グローバルな環境で働きたい、ダイバーシティが進む組織において、排他的にならず包摂的な視点でチームに貢献し、自他ともに成長することを志向する方に来ていただきたいですね。
モニターデロイト インタビュー

ボストン コンサルティング グループ（BCG） 久保 直人 氏
パートナー＆マネージング・ディレクター、組織・人材グループコアメンバー
「何をやりたいのか」という考えを明確に持っているということが大事だと思います。やはり我々と一緒に社会に何かしらのインパクトを与えていくという熱意を持てる人ですね。あとは「成長意欲」ですね。この2つは非常に大事だと思います。
ボストン コンサルティング グループ（BCG） インタビュー

マッキンゼー・アンド・カンパニー パートナー 片山　博順 氏
マッキンゼー・デジタル
自分なりに世の中をこういう風に変えたい、このような貢献がしたいという何かしらの思いやパッションがある方をマッキンゼーは求めていますし、個人的にもぜひ一緒に働きたいと思います。そのパッションは書生じみた青臭いものでもいいと思います。日本の医療を変えたい、日本の製造業がグローバルで活躍できるようにしたい。何かしらのパッションがあれば、マッキンゼーに入社してからもその人のエンジンを常に温める活力になるはずです。

コーポレイトディレクション（CDI）占部 伸一郎 氏
パートナー、経済ニュースメディア「Newspicks」プロピッカー
答えのない問いに向き合う覚悟と強い意志を持った人、抽象的ですが諦めの悪い人ですかね。考える、何を考えるべきかを考える、最後まで粘り強く考える、それが私たちの仕事です。コンサルティングには、絶対の解がないので一旦出した答えでも最後まですごく悩みます。クライアントへ報告の直前であってもこの結論で本当に正しいのか、最後の最後まで粘る。その最後の一踏ん張りが、大きくクオリティに差をつけるところなのです。
コーポレイトディレクション（CDI） インタビュー

ベイン・アンド・カンパニー 奥野 慎太郎 氏
日本法人会長、パートナー、産業財プラクティスリーダー
クライアントに提供する価値を大切にしながら、クライアント成功事例を増やしていくことで、自分だけでなくチームそしてファーム全体の成長を目指せる高い志をもった方に、是非挑戦していただきたいです。
ベイン・アンド・カンパニー インタビュー

ローランド・ベルガー 中野 大亮 氏
パートナー
私個人としては「安定を求める人」にはFitしないのではないかな、と思います。「このままじゃいけない」、「私は明日、明後日、1ヶ月後に結果を出したい」という想いを持ってウズウズしている人、「こうなりたい」という強い意志や、「結果を早く出していきたい」というゆるぎない気持ちを持っている方に来ていただきたいですね。
ローランド・ベルガー インタビュー

PwC Strategy& 樋崎 充 氏
パートナー
「自ら手を挙げて何かにチャレンジした経験」。例えば、キャリアの途中で海外留学（MBA）に挑戦したり、自ら希望して海外に駐在して事業をドライブしたり、新規事業立ち上げに取り組んだ経験などです。それらが必ずしも全て成果に繋がったという必要はないのですが、そう言った自主性やチャレンジ精神を垣間見られるようなキーワードを持った方に来てほしいです。
Strategy& インタビュー

ここではマインド面でコンサルタントに向いている人をご紹介しました。
スキル面でコンサルタントに向いている人、求められる経験・専門性について知りたい方はこちらをご参照ください。
コンサルタント求められる人材像 - ベーススキル・コンサルスキル・資格 ・ポジション別

現在コンサルティングファームは以下のように分類され、各コンサルティングファームやポジションによって求められるスキル・専門性が異なる場合があります。

戦略コンサルティングファーム
経営戦略策定・戦略立案からM&A戦略、新規事業やマーケティングなど主に大企業のCxOに対しての課題解決を行う。

総合系コンサルティングファーム
戦略から実行まで一気通貫で企業全体の問題解決を手掛けている。従業員も他ファームと比べ非常に多い。

IT系コンサルティングファーム
ITシステム（ERPなど）の戦略から設計・構築・導入を行い、企業の業務改善を手掛けている。

組織人事コンサルティングファーム
"人と組織を変えることで企業を変える"ことを専門的に各種人事に関する問題解決、コンサルティングを手掛けている。

FASコンサルティングファーム
企業のCFO領域である、経理・財務・法務・M&Aに付帯する業務へのコンサルティングを提供

コンサルタントに向いている人の特徴をご紹介しましたが、最初からこれらすべてを兼ね備えている人はいません。
実際にコンサルタントとなってからファーム内での研修や、プロジェクト経験から徐々に一人前のTコンサルタントになっていきます。現在のコンサルティングファームは人材育成に非常に力を入れているファームが多くなりました。 最初から構え過ぎずまずはご自身がコンサルタントとして向いているのか、上記のような「何か」を持っているのかまずはご相談頂ければ幸いです。弊社では、業界出身のキャリアコンサルタントが、独自の視点から客観的な評価を致します。