富士通がコンサル人材を1万人規模へ！その狙いと中途採用の実態とは？- コンサル業界転職特集記事 -

日本経済新聞によると、富士通は「稼ぎ方の改革」を急いでおり、これまで中心だったシステムの受託開発モデルから、顧客の課題に踏み込む提案型ビジネスへと大きく舵を切ろうとしています。
その鍵となるのが「コンサルティング機能の強化」です。2024年3月時点で2,000人規模だった社内コンサルタントを、2026年3月までに5倍の1万人体制に拡大するという大胆な構想を掲げています。

背景には、急速に高まるDX（デジタルトランスフォーメーション）への対応ニーズと、グローバルでの競争力強化があります。しかし、優秀なコンサル人材の獲得は容易ではなく、その実現には大きな課題も。果たして富士通の狙いと戦略、そして今、転職市場にとってどのような意味を持つのか、ここではその全貌を解説します。

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富士通がコンサルティング事業の強化に本格的に乗り出している背景には、従来のSI（システムインテグレーション）モデルの限界と、IT市場における価値提供の大転換があります。

これまでの富士通は、日本を代表するSIerとして、クライアントからの要件をもとに個別にシステムを開発・納品する「受託型」のビジネスを中心に展開してきました。このモデルは、安定した売上をもたらす一方で、変化の激しいビジネス環境に迅速に対応するには不向きという課題を抱えていました。複雑化する社会課題、グローバル競争、DX（デジタルトランスフォーメーション）への対応など、新たなビジネス課題に応えるためには、従来のやり方では限界があるのです。

近年、企業が求めているのは「何をどのように作るか」ではなく、「何を解決すべきか」「どんな変革を実現すべきか」といった、より本質的な問いへのアプローチです。つまり、技術だけでなくビジネス視点や業界構造に対する深い理解を持つプロフェッショナルの存在が、かつて以上に重要になってきているのです。

こうしたニーズに応えるべく、富士通は“提案型”ビジネスへのシフトを進めています。その象徴が、2026年3月までに1万人規模のコンサルタントを育成・採用するという「コンサル1万人計画」です。2024年3月時点では約2,000人の社内コンサルタントを抱えていますが、これを今後わずか2年で5倍にまで拡大するという大胆な戦略に打って出ました。

この戦略を具現化するために、2020年にはコンサルティング専門子会社「Ridgelinez（リッジラインズ）」を設立。Ridgelinezは、富士通本体とは異なる給与制度・人事制度を持ち、経営層への直接的な提案活動をミッションとする独立型のコンサルティングファームです。現場を支える社員の6割以上が中途採用人材で構成されており、設立当初の代表である今井氏（ベイン、ブーズ出身）を筆頭に戦略コンサルティングファームや大手IT企業出身者など、即戦力となる高スキル人材の登用を積極的に行っています。

さらに富士通本体でも、従来の縦割り型の業種別ソリューションから脱却し、業種横断で社会課題を解決する新たな事業モデル「Fujitsu Uvance（ユーバンス）」を中核に据えています。Uvanceは、サステナビリティ、ウェルビーイング、都市やインフラのスマート化といったテーマを起点に、社会と企業をまたいだ“課題解決のストーリー”を描くことを目的とした組織です。

こうした取り組みの根底にあるのは、“モノを売る”から“価値を創る”ビジネスモデルへの変革です。従来のようにシステムを納品して終わりではなく、クライアントの変革に並走し、時には経営層とともに未来のビジネスを構想する。そんな人材や組織こそが、今後のIT企業にとって不可欠な存在です。

富士通がこのようにコンサルティング事業の拡充に注力するのは、自社の競争力を高めるためだけではありません。変化の激しい社会の中で、本質的な価値を創出し続ける企業であるための経営判断でもあるのです。

今後、富士通がどこまでこのビジョンを実現できるか、そしてその変革にどれだけのプロフェッショナル人材が集うのか。1万人体制の行方は、IT業界全体の構造転換にも大きな影響を与える可能性を秘めています。

富士通は、従来のSIerビジネスからの脱却を図る中で、コンサルティング機能の強化を事業戦略の中核に据えています。この構造転換を支えるのが、富士通本体による「Uvance Wayfinders（ユーバンス・ウェイファインダーズ）」と、100%子会社である「Ridgelinez（リッジラインズ）」という2つの中核コンサルティング組織です。それぞれが異なる役割とミッションを持ちつつ、富士通のトランスフォーメーションを推進しています。

2024年、富士通は自社の新たなコンサルティングブランド「Uvance Wayfinders」を立ち上げました。このブランドは、全社横断の事業ビジョン「Fujitsu Uvance」の一部として位置づけられ、単なる業務改善支援ではなく、業界の枠を超えた課題解決と持続可能な社会への貢献をミッションに掲げています。

Uvance Wayfindersの特徴は、テクノロジー・業界知見・社会課題への感度を融合させた「ハイブリッド型」コンサルティングにあります。特にAIや量子コンピューティングなど、富士通が強みを持つ先進技術部門と連携し、戦略立案から実行支援フェーズまでを一気通貫で提供できる点が強みです。これは、実効性に欠けがちな「提言型コンサル」とは一線を画し、「戦略 × 技術 × 実行力」を融合した独自価値を創出します。

また、Uvance Wayfindersは製造業、医療、金融、公共など多様な業界に向けた13の注力テーマ領域を設定。それぞれに対して標準化されたSaaS型アプリケーションを通じたソリューション提供を行い、従来の個別開発中心のSIモデルから、提案主導型のビジネスモデルへと移行しています。

さらに、2025年4月には「グローバルコンサルティングビジネスグループ」を新設予定。ブランド強化にとどまらず、組織面からもコンサルティング事業を本格的な収益の柱へと成長させる構えを見せています。人材面では、社内リスキリング、中途採用、M&Aを組み合わせた三位一体のアプローチで、体制拡充を急ピッチで進めています。

一方で、富士通グループの中でもより実践的な変革支援を担っているのが、2020年に設立されたコンサルティング子会社「Ridgelinez（リッジラインズ）」です。同社の最大の特徴は、「経営層に直接アプローチするコンサルティング」に重点を置いている点にあります。

Ridgelinezの組織は、以下の3つのグループによって構成され、各プロジェクトに最適なチーム編成を行います。
・Industry Group（業界別）
・Competency Group（テーマ別）
・Technology Group（技術領域別）

この体制により、業界ごとの課題やテクノロジーの特性に応じた最適なコンサルティングをスピーディーに提供しています。

採用においては、中途人材の積極登用が進んでおり、全社員の約6割が外部からの転職者です。初期は富士通グループ出身者が多かったものの、現在では戦略コンサルファームや事業会社など、多様なバックグラウンドを持つ即戦力人材が加わり、専門性と機動力の高い組織へと進化しています。

また、Ridgelinezは富士通本体とは異なる独自の給与制度を導入しており、高度専門職にふさわしい報酬体系を整備。これは市場競争力のある人材を惹きつけるための仕組みであり、成果に応じて報酬が大きく変動するインセンティブ型の構造となっています。

日本経済新聞によると今後は、現在35?40％を占める富士通関連案件の比率を25％以下に引き下げ、外部企業向けのコンサル案件を拡大する方針です。2026年までに600人規模のコンサルタント体制を目指し、社内支援型から独立したプロフェッショナルファームへの進化を遂げようとしています。

富士通が推進する「コンサル1万人体制構想」は、SIerから提案型企業への大転換を象徴する施策として、IT業界・転職市場の両方で大きな注目を集めています。2024年3月時点で約2,000人だったコンサルタント数を、2026年3月までに5倍の1万人規模へと急拡大するこの戦略。その実現には、多くのプロフェッショナル人材の確保が欠かせません。
では、富士通のコンサル部門では、今どのような中途採用が行われているのでしょうか？そして、未経験者にもチャンスはあるのでしょうか？
ここでは、「富士通本体のUvance Wayfinders」と「子会社Ridgelinez」それぞれの中途採用事情を、コンサル業界No.1の転職エージェントが詳しく解説します。

富士通が2024年に立ち上げた新コンサルブランド「Uvance Wayfinders」では、現在、戦略・業務・ITコンサルティングいずれかの実務経験者を対象とした採用活動を本格化させています。
同部門は、製造・医療・金融・公共など13業界をターゲットに、社会課題を解決するソリューション提供を担っており、即戦力人材を中心に募集しています。

働き方の柔軟さも富士通本体の魅力のひとつです。テレワーク率は約8割以上、出社は週1回程度というスタイルが定着しており、ワークライフバランスを保って働きたいコンサル経験者におススメとなっています。
「今後は事業会社で安定的に、社会的意義のある仕事がしたい」「育児や介護と両立しながらキャリアを続けたい」と考えるポストコンサル層にとって、理想的な転職先のひとつといえるでしょう。 未経験者にもチャンス？今後の採用ターゲット拡大に期待
現時点では富士通本体の中途採用は、コンサル経験者に限ったポジションが中心です。しかし、同社が目標とする「1万人体制」は、短期間での大規模人材獲得を意味します。これにより、今後はコンサル未経験人材もターゲットに含まれる可能性が高いと見られています。
特に、業界知見に優れた事業会社出身者や、SIer・ITベンダーなどでクライアントとの折衝経験を積んだ人材は、提案力・論理思考力をアピールできれば採用の可能性は十分にあると考えられます。

コンサル業界ではポテンシャル採用が実施されています。書類・面接など選考において「論理的思考力」「コミュニケーション能力」といったコンサルタント適性をアピールすることができれば、前職関係なく内定を獲得できるチャンスがあります。
実際、1996年に日本初のコンサル業界特化型転職エージェントとして設立されて以来、10000人以上ものコンサル転職支援実績を誇る「ムービン」のデータを見ても、8割以上の方が未経験からコンサル転職に成功しています。

Ridgelinezもコンサルティングファームであり、ポテンシャル採用を実施しているため、コンサル未経験者にとっても転職のチャンスが広がっています。
特定業界に深い知見を持つ事業会社出身者や、顧客折衝経験豊富なSEなどが、異業種から多数チャレンジしています。

富士通本体とは独立した給与体系を採用しており、ポジションによっては外資系ファーム並の待遇が提示されるケースもあります。Ridgelinezは経営層へのダイレクトな提案や大規模変革支援を担うハイエンド領域をカバーしており、それに見合った報酬設計と実力主義の評価制度が特徴です。富士通本体の平均年収ですら965万円（有価証券報告書参照）と高年収になっているため、リッジラインズの場合さらに年収が高くなることが期待できます。

Ridgelinezでは早期昇進・高年収を狙えるハイペースなキャリアが、富士通本体では安定性とWLBを重視した成長機会が用意されており、自身のキャリアビジョンに応じて最適な働き方ができる方を選ぶとよいでしょう。

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